戦え舞え舞え藤の花 (ページ23)

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23 危ういページ23

冨岡side

目の前で繰り広げられているのは、果たして『戦い』なのか。

余りにも一方的だ。Aが元下弦の肆である鬼を蹂躙している。

Aには才があると幼い頃から思っていたが、まさかこんな剣士になるとは。

___危うい。

確かに今現在、Aは強い。実際、＂元＂とはいえ十二鬼月である鬼を相手に圧倒している。

しかしそれは『鬼が憎い』という限りのない"激情"から生まれているものであり、その張り詰めた糸がいつ切れるか分からない。

Aは、鬼と戦っている間の記憶は無いと言う。

それでは"激情"という糸が切れた時、どう動いていいか分からなくなってしまうだろう。今のままでは駄目だ。

自分の意思で、刀を振れるように。鬼を斬れるように。そうならなくては駄目だ。

Aが戦う時は、無邪気な笑顔が消える時。それを間近で見るのはどこか複雑な気分だった。

妹同然に可愛がっていたAが、「汚い」「煩い」「触るな」「鬼ごときが」などと罵っていたのだからそれも当然。

しかし声を掛けて腕を広げれば、昔のように抱きついて来た。

あんなに小さかったのに___

「…大きくなったな」

柔らかい髪の毛を撫でて、誓う。

育ててみせる。

この子を娘も同然に育てた鱗滝さんを悲しませることの無いように。

Aが……死ぬことなど無いように。

ーーーAside

「まさかあのお兄ちゃんに遭遇するなんて思わなかったなぁ……ねえ、桔梗？」

最近、桔梗は鎹鴉の中でもかなり静かな子だと分かった。常に私の側に居るけれど、任務と方角を告げる以外に言葉を発することはほぼ無い。

首を傾げたり頷いたり、動作はあるけれど。

金平糖を口に放り込み、桔梗が伝えてくれた方向へ再び歩き出した。

「どこに行くんだっけ？なつ…なと…な……なたぐも山？」

首を縦に振る桔梗にありがとうと返して再び金平糖を口に入れた。

山なら、道の人に聞いて行けばおそらく辿り着けるだろう。

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文字数の関係で遅くなってしまいましたが…

順位が付きました！

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.瑠璃烏