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22 けじめ ページ22

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「……どうした」


「ぁ…お、お兄……っ義勇さん…?」


「何故 呼び直す。昔のように呼んで構わない」



お兄ちゃん、
と出掛かった言葉を無理やり必死で変えたのに、何でその必死をぶち壊すような事を言うのやら…

目の前にいる、右と左で模様の違う羽織を纏った彼は、幼い頃『お兄ちゃん』と呼び慕っていた


冨岡義勇だった。


ガシャンッと刀を落として、よろめきながら駆け寄る。控えめに広げられた腕の中に飛び込んだ。



「お兄ちゃんっ…!」


「…大きくなったな」



込み上げる涙を堪えて、胸元に額を押し付ける。

優しく頭を撫でてくれる手は昔と変わらないままで。それが余計に涙を誘う。

錆兎と真菰が帰って来なかったあの日、この人はボロボロで、何かを失くしたような顔で帰って来た。

まだ錆兎と真菰が死んでしまったのだと理解できない程に幼かった日のことだけれど、良く覚えている。


結局 涙は堪えきれなくて、ボロボロと溢れる滴は彼の隊服を濡らした。









「本当に…大きくなった」


「ふふっ、それ何度目ですか」


「その他に思い浮かぶ言葉が無いだけだ」


「あなたらしいですね。……それより…水柱、冨岡義勇さま。先程の無礼をお許し下さい。申し訳ありませんでした」



きちんと片膝をついて首を垂れると、沈黙が流れる。きっと「何故 謝っているんだ」と思っているのだろう。


でもこれは"けじめ"だから。


今現在、私は癸で彼は水柱。簡単に抱き着いたりなどしてはならなかったのだ、本来は。

しかし頭上からは不機嫌そうな声が降ってくる。



「頭を上げろ。お前にそのようなことをされては調子が狂う」


「はい」



頭を上げると、尚も不機嫌そうな顔。ついにはため息を吐かれてしまった。



「はぁ……A、立て」


「はい」


「A、次に俺の前でそのような振る舞いをしたら怒る。いつも通り、昔の通りでいい。分かったな」


「それは……承知致し兼ねます。あなたは水柱様ですから。呼び方も、水柱様か冨岡さまにします」


「………もう知らん」


「ふふっ」



笑うと呆れたように視線を逸らして、再びため息を吐かれた。



刀を拾って綺麗に拭いていると、義勇さんが口を開く。



「……鬼を殺す間の事を、覚えているか」


「…? いいえ」


「そうか」



何か考えるような様子に戸惑いながらも、また会おうと笑い合って別れた。



「早く、誰かに会いたいなぁ…」



1人になると寂しくて、つい零した。

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瑠璃烏(プロフ) - 澄葉流さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月27日 11時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
澄葉流(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年2月26日 22時) (レス) id: 73c9d55ae5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2020年2月26日 16時

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