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20 名前 ページ20

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その後もいくつか任務を熟し、善逸と並んで歩いていると突然 鴉が煩く鳴き始め、何だと問えば名前が欲しいとか。



「な、名前?」


「え、チュン太郎みたいな呼び名が欲しいってこと?」



はっきり言って面倒臭いけれど、確かに「鴉」と呼び続けるのもなんか…

少し考えて頭に浮かんだ名前を口にする。



「『桔梗(ききょう)』でどう?」



そう言うと鴉は肩に留まって、私の頬に頭をすり寄せてきた。了承の合図と取って良いだろう。

ふと思い出して、形見の耳飾りを取り出し紐に通し、桔梗を善逸の腕に留まらせて、その飾りを首に掛ける。



「『桔梗』は私の姉の名前なの。この飾りは形見。どうか貰って」


「……お姉さんの事が大好きなんだね」


「うん。一緒に居られたのは ほんの2年とちょっとの間だったけど…とっても優しかった」



そっか、と笑う善逸に微笑み返して、再び歩き始めた。









ーーー









「えっ!?ここでお別れ!?」


〈Aハ西北西!善逸ハ南南東!〉


「そんなぁ…!でも任務…」


「死ぬ死ぬ死ぬぜっったい死ぬ!俺は弱いんだよォ!!Aちゃんみたいに強い人と一緒じゃなきゃ死ぬんだってばぁ!!」



ああダメだ、やっぱりこの子変人じゃん。

という失礼極まりないツッコミを頭の中で入れつつ、縋り泣き付いてくる善逸の正面にしゃがんで目線を合わせた。

ワーワー泣き喚く善逸の涙を手拭で拭い始めると、漸く静かになってきたので口を開く。



「善逸。善逸は弱い弱いって言うけど、最終選別を生き残ったんだから大丈夫。それに私だって怖いよ」


「うぅ…うん……」


「……善逸は…耳が特段良くって、自分なんかすぐ死ぬんだって思ってるでしょ?それ、私も同じなの。私 初めてなんだ、こんなに共通点の多い人と出会ったの」


「そ、それは俺もだけど…」



濡れた頬を拭い終わって、その手拭を善逸の手に握らせる。それと同時ににっこりと笑った。



「どうか忘れないで。あなたと同じ様な人間が、別の場所で戦ってるんだってことを。……絶対に大丈夫!信じて!」



言い切ると善逸はさっきよりもしっかりとした表情になって、こくりと頷いた。



「分かった。この手拭、また会う時に必ず返すから」


「うん!約束ね!」



大丈夫。私と同じ様な人が、別の場所で戦ってる。そう思えばきっと。


震える手を隠すように後ろ手に回して、各々の向かう先へと踏み出した。

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瑠璃烏(プロフ) - 澄葉流さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月27日 11時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
澄葉流(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年2月26日 22時) (レス) id: 73c9d55ae5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2020年2月26日 16時

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