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17 出発 ページ17

炭治郎は北西の町、私は東北東へ行くようにと鎹鴉の伝令を受け、最後かもしれないからとおじ様に着付けされていた。

隊服をきっちり着込んで、藤色の羽織を纏って、腰に刀を携えて。

首飾りは隊服の内側にしまった。


おじ様に背中を押されて外に出ると、お別れなんだ、という気になる。

5年前は想像もしなかった未来だ。

おじ様をぎゅうっと抱きしめて、目を閉じる。


私はおじ様の子だ。絶対に死んだりしない。


もう一度 脳に刻みつけるように頭の中で繰り返し、ゆっくりと体を離した。



「お花の水やり、お願いしますね」


「ああ、任せておけ。……気を付けて」



私たち2人を見て言うおじ様に、2人一緒にしっかりと頷いた。



「行ってきます、おじ様!」


「行ってきます!」



厄除の面は、持って行く事にした。

炭治郎から話された鬼のことがあったのでおじ様はやめておけと言ったけれど、これがあると落ち着くのだ。

家を出て少しして、思い出し立ち止まる。



「炭治郎、ちょっと待って」


「ん?」


「これ、持って行って。きっとお守りになるから」



藤の花の匂い袋を首飾りのように紐に通した物。炭治郎は少しきょとんとして、でもすぐにいつもの笑顔を咲かせる。



「ありがとう!」


「どういたしまして。頑張ろうね、炭治郎」


「ああ、勿論!」



一緒の所までは手を繋ごうという提案を受け入れ、傷だらけで皮の分厚い手をぎゅっと握った。









ーーー









炭治郎と別れて少し歩いた所で、道端に見知った姿を見つけて躊躇いがちに声をかけた。



「あ…あのう……大丈夫ですか?」


「ひぃぃッ!!!ってあぁ!女の子!頼む!俺と結婚してくれぇえ!!」


「きゃあぁあっ!!!」



なんだこれ。

2人して叫び声を上げてるって完全に変人じゃないか私たち









「お、落ち着きました?」


「うん…」


「そういえば、あなたも最終選別にいた?よね?」


「そうだよぉ…最終選別で死ねると思ったのにさぁ…運良く生き残っちゃってさぁ…」


「あははっ、不運なのか幸運なのか…面白いね」



クスクスと笑いながら、涙でぐしゃぐしゃの彼の顔を手拭で拭った。

すると彼は驚いた顔をしたかと思えばまたグズグズと泣き始めてしまい、泣き止むまで暫く抱きつかれたままだった…

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瑠璃烏(プロフ) - 澄葉流さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月27日 11時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
澄葉流(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年2月26日 22時) (レス) id: 73c9d55ae5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2020年2月26日 16時

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