ちゃんとかわいいよ【川西拓実】 (ページ4)

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…

どれだけの時間、私は眠っていたのだろう。

ﾄﾝﾄﾝ､と肩を叩かれる感覚に目を開く。

『ん、んぅ』

｢一ノ瀬さん、帰ろ｣

川西さんの声を聞いて意識が覚醒する。

あれ！？

『し、仕事は？』

｢終わりましたぁ｣

にっこにこな笑顔でVサインを向けてくる目の前の人物は、

そこらのアイドルより、よっぽど愛嬌があった。

『すみません、私、寝てただけで。』

｢いーよ。寝顔見れたので許す｣

こういう謎発言をする所はよく分からないけど、

川西さんが本当に素敵な人だということは分かった。

｢ねぇ一ノ瀬さん｣

暗いから家の近くまで送る、と言ってくれた川西さんに話しかけられる。

『なんですか？』

｢一ノ瀬さん呼び、なんかやだ。｣

『…そうなんですか、？』

｢だから、Aちゃん、って呼ぶの、あり？｣

突然なにを言い出すかと思ったらそんなこと？

名前の呼び方なんて、正直なんでもいいのに。

『大丈夫です。』

｢ふふ、ちゃんと後輩って感じしていいかも｣

よく分からない、けどまぁ、そういうことなんだろう。

そこからしばらく、会話なんてしなかった、。

むしろ無言すぎて気まづいくらい。

『あ、あの。私もう家、すぐそこなんで。』

｢そうなんだ。じゃあ意外と僕の家からも近いね｣

『それは、奇遇ですね、それでは、』

｢あ、まって、｣

『え？』

もうお別れの挨拶する気満々、という時に、

川西さんは私を引き留める。

｢連絡先、交換しようよ。｣

『え…？あ、はい。』

そう言われて、私は携帯を取りだし、連絡先を交換した。

【川西拓実】と表示されたディスプレイに、少し温かみを感じた。