ちゃんとかわいいよ【川西拓実】 (ページ17)

今日:15 hit、昨日:3 hit、合計:16,199 hit

. ページ17

『かわ、にしさ…』

口を開いたらダメだと、思っていたはずなのに。

川西さん相手だと、口を開いちゃうし、涙も見せちゃう。

何でだろう。こんな感覚初めてで、よく分からない。

｢ごめん、だらだら話しちゃって。｣

『…』

返事をしたいのに、息が詰まるような感覚で、声が出せなかった。

あぁ分かった。

私、今から泣く。泣きすぎ、最近。

そう自覚した瞬間、ぼろぼろと涙は溢れてきた。

そんな私を見た川西さんは、やっぱり泣いた、とでも言いたげな顔をしていた。

｢泣いて欲しくないって言ったばっかりなのに…｣

『嬉しくて、なので！』

｢嬉しい？｣

川西さんのせいで泣いた、と言えばそうだけど。

でも、川西さんに責任を感じて欲しくないと思った。

必死に言葉を紡いだら、少し驚いたような反応をされた。

『そりゃ嬉しい、ですよ…。川西さんが優しいからっ、』

冷静に考えれば、なんでこんなこと言ったのか分からない。

結構、恥ずかしいことを言ったと思う。

｢…優しくするのは好きだから。頭のいいAちゃんなら、僕の気持ち分かるでしょ？｣

『…わかり、ました。いま、』

ｽﾞｽﾞｯと鼻をすする。女子力の欠けらも無い。

この人は私のどこに、魅力を感じたのだろうか。

全くわからない。

｢分かってくれたならいいよ。返事は、待ってるから。落ち着いたら戻っておいで。｣

川西さんは、捨て台詞のようにそう言って、その場から去ってしまった。

突然のようにシーンとした空気に寂しさを感じる。

“落ち着いたら” って川西さんは言ってくれたけど。

流石に抜け出しておいてこれ以上は休んでられない。

ぐっと手を握って、私もその場を離れた。