僕を見て ページ16
｢…ちゃん、Aちゃん？｣
『あ、すみません。ボーっとしてました。』
川西さんにﾄﾝﾄﾝと肩を叩かれて現実に引き戻される。
なんか私、被害者ヅラしすぎじゃない？
ふと、そう思った。
思い返してみれば、優斗と付き合ってたときも。
私、被害妄想酷いのかな。
もう、自分が情けなくて仕方がない。
｢なんで、そんな辛そうな顔するの。｣
『…』
本当に申し訳ないけど、川西さんの言葉に返事ができない。
口を開けば泣く。そう、確信があったから。
それだけじゃない。
今、川西さんに甘えてしまったら何かが、ダメな気がするから。
｢…｣
『…』
気まずい沈黙。
この空気どうすればいいの、と悩んだ瞬間。
私の顔がグイッと上に持ち上げられる感覚。
そして瞬きの間に、川西さんの顔が目の前にあって。
気付いたら、キス、されていた。
漫画やドラマみたいな長いのじゃない。ほんと、一瞬の。
『え』
｢やっと目、合ったね。｣
驚きのあまり、川西さんの方を見る。
その目は、なんだか色々な感情が入り交じっていそうだった。
『川西さん、あの、』
｢僕はね、Aちゃんの話、聞きたいよ。｣
いつになく真剣な眼差しを向ける川西さん。
そんな目で見られても、困る。
言ったら、川西さんが私の事嫌いになるから。
｢Aちゃんは、あの人のこと、気にしてるの？｣
少しずつ質問していく形式にシフトチェンジしたのだろうか。
なんとも答えずらい問いを投げかけられる。
『分からない、です。すみません。』
｢わからないって？｣
『優斗のこと、好きじゃないっていうのは、確信があるんです。けど…』
事ある毎に、優斗の言葉が頭の中で再生される。
だから、気にしてないっていうのは違うと思った。
でも、優斗に対して、未練がある訳ではない。
本当に、自分でもよく分からない。
｢彼の事、好きじゃないならさ、もっと、僕を見てよ。｣
『え？』
突然言われたその言葉に、どき、とする。
私が、川西さんを、見る？
｢僕は本気で好きだからAちゃんのこともっと知りたいし、助けになりたい。｣
『…』
｢それに、マイナスな気持ちで泣いて欲しくない。それだけだよ。｣
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たかはし2(プロフ) - ぽんさん» 外したつもりでしたが反応していなかったみたいです。教えていただきありがとうございます。 (2021年3月16日 16時) (
レス) id: 229e36df39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たかはし2 | 作成日時：2021年3月16日 16時
