ちゃんとかわいいよ【川西拓実】 (ページ13)

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“好き” という単語が渋滞しすぎていて。

何を言っているのか、理解できなかった。

『えっと…？』

｢えー。さっきも言ったじゃん。1人の女の子としてかわいいと思ってるって。｣

確かに、言ってた。

でも、それが “そういう意味” だなんて誰が思うの。

｢ごめん、困らせてるね。一旦この話は後回しにしよう。｣

『えっ、』

後回し、と聞いて少しモヤモヤする。

自分でも、何でこんな気持ちになってるのか、分からない。

｢平山さんは、あの後落ち着いて、一旦帰ったよ。また日を改めるってことになったから。｣

『そうなんですか…。すいません。』

正直、すごく安心した。

でも、みんなが解決してくれたんだろうな、とか考えると、

私だけ逃げたことが本当に申し訳なくなる。

｢謝んないでよ。いきなり知り合い来たら、そりゃ驚くよ。｣

『でも、さすがにダメだなって。仕事、なのに。』

私がやった事は簡単に言えば “仕事放棄” だ。

社会人として、一番やっちゃいけないことを、やってしまった。

｢それより、Aちゃんがあんなに声出るんだってことに驚いた。｣

『あ、それは…。』

あれはさすがに言いすぎたな…。と再び申し訳なさが込み上げる。

あの発言で、優斗にとっての、思い出したくない記憶を掘り返した。

“落ち着いた” と川西さんは言っていたけど、

多分、落ち込んでしまったんだと思う。

『平山さんは、傷、ついてそうでしたか？』

｢…気にしてるの？｣

少し目を細めながら聞き返してくる。

私はそれに、小さく頷いた。

｢まぁ、多少はね。でも、あれはAちゃんにとっても良い話じゃなさそうだし｣

私に気を遣ってくれているのか、そう言ってくれる。

でもそういう問題じゃない。