目覚めたあと ページ36
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目が覚めた。
季節は冬なのに、不思議と体が冷えてなかった。
きっと、ふわふわで真っ白なミミちゃんと何か関係があるのだろう。
ぼんやりとしながら体を起こすと、周りは明るく、鳥のさえずりも聞こえる。
ぴーちく、ぴーちく。ぴるるるるる……
スマホで時間を確認すると、午前7時だった。どうりで明るいわけだ。
だんだんと冷えてきた指先で、スマホの液晶画面をタップする。
役立てなかった申し訳なさにドキドキと心臓がうるさい。
『黒羽快斗』をタップして耳に当てると、
ーー貴方のお掛けになった電話は現在電波の届かない場所におられるか、電源が入っておりません。
機械的な音声がそう告げた。
「……っ」
きっとバッテリーが切れただけなのだろうが、それでも心配してしまう。
やり場のない焦りや怒り、悲しみなどが全て黒の組織へと向かっているのを感じる。ミミちゃんの言うことはイマイチわからなかったが、実は黒の組織は家族を殺したわけではないらしいので、完全な八つ当たりだ。
夢から目が覚めた今、わたしは致命傷を負ったら、きっと死ぬ。
ーーわたしは、ただの人間になったのだ。
原作の知識を持つだけの、何も持っていない弱い人間に。
ゆっくりと立ち上がりながらウィッグを頭から外し、中途半端な『アガサゆき』を捨てた。不純物が取れたようにスッキリとした。
もう一度、念入りに辺りを見回したが、人が来る気配はない。
「もう夢物語はお終いだ、ってこと……なのかな」
あははと乾いた笑いがこぼれる。
こうして、わたしは水鳥Aとなった。
・
独りの16歳の女の子は、ある日訪れた喫茶店でこの世界は物語だと気づいてしまった。その瞬間、彼女は原作の知識と笑顔だけが取り柄の女の子となった。
彼女はポアロという喫茶店で働きながら名探偵コナンの主人公や登場人物と接点を持ち、交流を深めていった。
怪盗キッドの狙う宝石を見に行った時、彼女は妙な男を発見してしまう。その男は何らかの組織の一員らしく、彼女は慌てて屋上へ向かった。怪盗キッドを暗殺するのに丁度良い場所が屋上だからだ。
彼の命の恩人となり、彼女はまじっく快斗の主人公とも仲良くなった。
彼女は名探偵コナンの登場人物ではない。彼女は喫茶ポアロの店員でもない。彼女にはミミという援護者はもういない。
彼女は登場人物のフリをした。彼女はアガサゆきのフリをした。彼女は強いフリをーー
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たんぽぽ珈琲(プロフ) - ちょっと内容を変更しました。97から100話、もう一度読んでいただけたら嬉しいです。それでは、今度こそ続編の準備をしてきます！ (2020年5月23日 18時) (
レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - お久しぶりです。100話が終わり、次章へと進みます。主人公の心の成長を伝えられたらと思って書いていますが、なかなか難しいですね。次章では、大きく分けて三つの問題について主人公が悩みます。それでは、ハッピーエンドへ進めるよう準備してまいります！ (2020年5月18日 14時) (レス) id: 768bd78820 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんばんは、たんぽぽ珈琲です。コロナウイルスで色々と状況が変化していますが、動かなくていいのだと思って、お菓子を作ったり編み物をしたりと、有意義な時間を過ごしていました。平和ボケしているかもしれませんが、みなさんもこの時間を楽しめていたらと思います。 (2020年4月8日 19時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 明けましておめでとうございます！先ほどスケート滑って転んで手首腫れて痛くて包帯まいてもらった作者です。本日更新したおはなしは「言えずにいたこと」です。最後となりましたが、今年もよろしくお願いします！ (2020年1月5日 13時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんにちは、作者です。生活に慣れてきたので、そろそろ更新しようかなと思っています。お待ちくださっている読者さま、ありがとうございます！ 初めて投稿した作品なので辻褄の合っていない部分などありますが、完結させたいと思います。以上、告知でした！ (2019年9月18日 10時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たんぽぽ珈琲 | 作成日時：2018年10月28日 14時
