ふわふわで真っ白な猫は ページ35
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もしもまほうがあったら、もしもにんげんがいなくなったら、もしもごはんをたべてなかったらーーと猫ちゃんは『もしも』のことを言い並べていく。
「きみは『もしも、飛行機がハイジャックされる世界の水鳥Aは消えて、名探偵コナンの世界の水鳥Aに成ったとしたら』のせかいの水鳥Aなの」
「ふぅん。……じゃないよ！ ちょっと待って、話が早すぎて、理解できない！ 気持ちを整理する時間くらいちょうだい！」
さっきまでのようにノリツッコミらしきものを決めただけだった。
「そう！ わからなくていいの！ だって、わたしがねがったんだもの」
猫ちゃんの怒鳴り声にびくりと身体がこわばる。
得体の知れない焦燥感がわたしから冷静を奪う。
何が猫ちゃんの逆鱗に触れたのか、さっぱり見当もつかなかった。
「猫、ちゃん」
「しごとがある。きみを、ハッピーエンドにしないといけない、しごとが」
猫ちゃんが立ち上がり、わたしに背を向ける。表情が見えない。
「わたしは、『もしも』のかみさまのミミ」
「待って、」
「きみはもじどおり『この世界を愛している』の。きみがしあわせになるには、それがてっとりばやいと、おもったから」
猫ちゃんーーミミちゃんは寂しそうに微笑む。
「ミミちゃんっ」
「でももう、わたしのちからはひつようなさそうだね」
「待ってよ！」
「ーーもしも、水鳥Aが『もしも、この世界を愛していたら』のせかいとかんけいがなくなったら！」
その途端、わたしは白い空間から追い出されたようだった。
・・・
ふわふわで真っ白な猫は、自分の幸せがわからなかった。猫は不幸だと感じていた。
自分の幸せを探すために、もしもと願った。もしも、もしももしもーー
ハイジャックを止めたら幸せかと思い、乗客のうちの水鳥Aを偶然利用した。
ただ、ハイジャックを止めても幸せにはなれなかった。
彼女を見守ったら幸せだろうか？
Aは、しばらく不幸だった。
でも、立ち直ろうと外へ出た。
そして、猫はそんな頑張り屋のAを見守るのが好きになった。
そして、今。
猫は、自分の幸せが分かった。
Aが笑顔。それが今の自分の幸せだということに気がついた。
だから、送り出した。閉じ込めておくのをやめた。見守るのをやめた。
目を瞑って、眠ってーーそのあとで、立派になったAに会いに行くのだ。
「しあわせになるんだよ？」
ーーふわふわで真っ白な猫が笑った。
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たんぽぽ珈琲(プロフ) - ちょっと内容を変更しました。97から100話、もう一度読んでいただけたら嬉しいです。それでは、今度こそ続編の準備をしてきます！ (2020年5月23日 18時) (
レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - お久しぶりです。100話が終わり、次章へと進みます。主人公の心の成長を伝えられたらと思って書いていますが、なかなか難しいですね。次章では、大きく分けて三つの問題について主人公が悩みます。それでは、ハッピーエンドへ進めるよう準備してまいります！ (2020年5月18日 14時) (レス) id: 768bd78820 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんばんは、たんぽぽ珈琲です。コロナウイルスで色々と状況が変化していますが、動かなくていいのだと思って、お菓子を作ったり編み物をしたりと、有意義な時間を過ごしていました。平和ボケしているかもしれませんが、みなさんもこの時間を楽しめていたらと思います。 (2020年4月8日 19時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 明けましておめでとうございます！先ほどスケート滑って転んで手首腫れて痛くて包帯まいてもらった作者です。本日更新したおはなしは「言えずにいたこと」です。最後となりましたが、今年もよろしくお願いします！ (2020年1月5日 13時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんにちは、作者です。生活に慣れてきたので、そろそろ更新しようかなと思っています。お待ちくださっている読者さま、ありがとうございます！ 初めて投稿した作品なので辻褄の合っていない部分などありますが、完結させたいと思います。以上、告知でした！ (2019年9月18日 10時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たんぽぽ珈琲 | 作成日時：2018年10月28日 14時
