掴まれた流れ ページ25
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「これからは私の番、ということで……いくつか質問をさせていただきたいと思います」
「どうぞ。ボウヤもそれで良いかい」
「うん！ いいよ！」
「あ、少しだけお待ちください」
彼女はハンドバッグからハンカチを出すと、すぐにくるくると丸めて、またバッグに戻した。
「……お待たせ致しました。では、まず最初にひとつ」
瞬く間にボウヤの服の裾を指でつままれる。
「あっ、お姉さんっ？」
「これは、盗聴器ですよね」
彼の服の裾の内側に付いていた、黒くて小さなものが、彼女の手のひらで鈍く光っている。
「沖矢さんは、さっきまでの会話を盗み聞いていた。違いますか？」
「そ、そんなわけないでしょ！ 他の人が付けたって可能性も、」
「ーーいえ、全くその通りですけど、何か問題でも？」
「昴さん、どうして！」
声を荒げるボウヤを「まあまあ、一旦落ち着いてくれないか」と僕が宥める。
「なら良かった……何しろコチラにもありましたので」
ほら、と先程バッグから出したりしていたハンカチを広げて見せた。確かにその上には盗聴器らしき機械が乗っている。目を見開いて驚く僕らをよそに彼女はハンカチをまたぐるぐる巻いてバッグの奥深くに詰め込んだ。
「ふぃふてぃ・ふぃふてぃ、です」
「なっ、誰がこれをっ」
「え、それはもうお分かりでしょう？それはそれは優秀な、とりぷるふぇいすさん、ですよ」
こっちにも心強い協力者がいるんですからね、と彼女は誇らしげにふふんと鼻を鳴らす。
「ほぉ……それは面白い」
「ぜんっぜん面白くないよ！」
いつもは冷静なボウヤが怒鳴り声を上げる。
だが、これが物語だとしたら面白い展開だ。後でここの家主さんに伝えておこう。
「それにしても、沖矢さん、ポアロの前で私の腕を掴むなんて、アナタはおバカさんですか？ 安室さんは全部見ているんですからね。今頃、盗聴器から音が聞こえなくなったので、きっと不審に思っていますよ」
もしかしたらここに来るかもしれませんね、と思い出したように付け足す。
予想外の展開にボウヤが冷や汗を流し、唇を噛み締める。
ゆきは柔らかく微笑みながらカップを口に近づける。
完全に、あちらに話の流れを掴まれてしまった。
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たんぽぽ珈琲(プロフ) - ちょっと内容を変更しました。97から100話、もう一度読んでいただけたら嬉しいです。それでは、今度こそ続編の準備をしてきます！ (2020年5月23日 18時) (
レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - お久しぶりです。100話が終わり、次章へと進みます。主人公の心の成長を伝えられたらと思って書いていますが、なかなか難しいですね。次章では、大きく分けて三つの問題について主人公が悩みます。それでは、ハッピーエンドへ進めるよう準備してまいります！ (2020年5月18日 14時) (レス) id: 768bd78820 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんばんは、たんぽぽ珈琲です。コロナウイルスで色々と状況が変化していますが、動かなくていいのだと思って、お菓子を作ったり編み物をしたりと、有意義な時間を過ごしていました。平和ボケしているかもしれませんが、みなさんもこの時間を楽しめていたらと思います。 (2020年4月8日 19時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 明けましておめでとうございます！先ほどスケート滑って転んで手首腫れて痛くて包帯まいてもらった作者です。本日更新したおはなしは「言えずにいたこと」です。最後となりましたが、今年もよろしくお願いします！ (2020年1月5日 13時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんにちは、作者です。生活に慣れてきたので、そろそろ更新しようかなと思っています。お待ちくださっている読者さま、ありがとうございます！ 初めて投稿した作品なので辻褄の合っていない部分などありますが、完結させたいと思います。以上、告知でした！ (2019年9月18日 10時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たんぽぽ珈琲 | 作成日時：2018年10月28日 14時
