余裕 ページ24
.
「ねぇねぇ、ゆきお姉さん」
「なっ、どうして呼び方を変えるんですか？」
「ホントはさ、バーボンなんて飲んだことないでしょ」
「何、言ってるんですか」
「ゆきお姉さんは、ホントのホントは、お酒を飲まなかったんじゃなくて飲めなかったんだ」
「だから何を言って」
「お姉さんはオトナじゃなくて、」
「はい？ 私はハタチを過ぎてますよ？」
「ーー本当の本当は、未成年だからね！」
3分が経ったのでカップに入れていたティーパックを小皿に移す。そしてカップにミルクを注いだ後、カップを持ちリビングへ向いながら片手でインカムをポケットにしまう。
「ちゃんと答えて。バーボンって、どんな味？」
「……いわゆる、お酒の苦い味、です」
インカム越しに聞いていた会話が直接耳に入ってくる。
「ーーうん。ありがとう。じゃあ昴さん、バーボンってどんな味なの？」
「……少し焦げたカラメルのような
紅茶です、と背の低くて小さな丸いテーブルに置くとゆきは緊張して固まっていた顔をほんの少し緩ませた。
「ありがとうございます。先程まで沖矢さんが何をしていたのかーー」
彼女が紅茶めがけてふうふう息を吹きかけた後ゆっくり口に含んで飲み込んだ。
「なんとなくですが、分かりました。ほわぁ、温かくて美味しい……ちょうど飲みものが欲しかったんです」
先程までの受け身な彼女はどこへ行ったのだろうか、と目を疑う。
今は紅茶を楽しむ余裕すら見える。
さあ、どうする。ひとまず様子を見るか？
ボウヤと目配せしながら彼の隣に腰掛けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 265人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - ちょっと内容を変更しました。97から100話、もう一度読んでいただけたら嬉しいです。それでは、今度こそ続編の準備をしてきます！ (2020年5月23日 18時) (
レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - お久しぶりです。100話が終わり、次章へと進みます。主人公の心の成長を伝えられたらと思って書いていますが、なかなか難しいですね。次章では、大きく分けて三つの問題について主人公が悩みます。それでは、ハッピーエンドへ進めるよう準備してまいります！ (2020年5月18日 14時) (レス) id: 768bd78820 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんばんは、たんぽぽ珈琲です。コロナウイルスで色々と状況が変化していますが、動かなくていいのだと思って、お菓子を作ったり編み物をしたりと、有意義な時間を過ごしていました。平和ボケしているかもしれませんが、みなさんもこの時間を楽しめていたらと思います。 (2020年4月8日 19時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 明けましておめでとうございます！先ほどスケート滑って転んで手首腫れて痛くて包帯まいてもらった作者です。本日更新したおはなしは「言えずにいたこと」です。最後となりましたが、今年もよろしくお願いします！ (2020年1月5日 13時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんにちは、作者です。生活に慣れてきたので、そろそろ更新しようかなと思っています。お待ちくださっている読者さま、ありがとうございます！ 初めて投稿した作品なので辻褄の合っていない部分などありますが、完結させたいと思います。以上、告知でした！ (2019年9月18日 10時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たんぽぽ珈琲 | 作成日時：2018年10月28日 14時
