わたしは私 ページ14
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安室さんがハムサンドを作りにキッチンへ戻ったのを確認して安堵のため息をつく。うぇるかむばっく安室ズ爽やかスマイル、とひとり呟くと疲労感が波のように押し寄せてきた。
……あぁ、家に帰りたい。
だが地球は回る。
時間は進む。
頭をテーブルに預けて深い息を吐いている今この瞬間も一秒一秒、時計の秒針は働いているのだ。
そろそろ哀ちゃんが戻ってくるだろうと思い「アガサゆき」を演じる準備ーーいや、「成る」準備を始めた。コナンくんに見られないよう顔をテーブルに伏せたままお茶目で可愛らしい工藤有希子さんをイメージして表情を整える。
「ゆき」の口調である敬語にはあまり慣れないが、性格は成り切れる。そんな自信がどこからか湧いてきた。
……話は少しそれるが、大体の人は私の「今の姿」を見て「なにもそこまで」
と眉をひそめるだろう。
それでもわたしは、みんなに会いたい。
大好きなひとたちを騙してでも。
自分の姿を偽ってでも。
わたしはやはり強情だ。
でも、どうか、このまま。
好きな時に、大好きなみんなに会って、話せるーーそんな平和な日々が続きますように。
そう願った時、「待たせたわね」と彼女が髪を耳にかけながら歩いてくるのが見えた。顔を上げ、にこっと笑う。
「哀ちゃん、おかえりなさい！」
「待たせたわね」
「いいえ。ハムサンドは半分に分けて食べましょう。ここに来たら絶対に食べなきゃいけないもの、それがこのハムサンドです。えーっと、ゆー ますと いーと でぃす はむさんど、ですよ！」
興奮気味にふふふと笑いをこぼすと目の前の彼女は引き気味に「そうね」と返事を返してくれた。
「あなた、食べるのが大好きなのね」
「そうです。嫌いなものは指を折って数えられるほどです」
「そう？」
指を折りながら数える。オリーブ、ギンナン、豆もやしーー
「それなら、お酒……は、どうかしら」
警戒の眼差しが向けられどきりとする。
「え、お酒ですか？ お酒はあまり好きではありませんが……ああ、でもバーボンというウィスキーはちょっと好きかも」
哀ちゃんが目を見開く。
「じゃあ、ライは……」
「それは飲んだことがありません」
薄く笑みを浮かべると彼女は少しだけ身を引いた。
きっと私のことを疑っているのだろう。
でも……哀ちゃん、コナンくん、キミたちには悪いですけれど、私はキミたちが考えているような者ではありません。
アガサゆき。
これが私の名前ですので。
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たんぽぽ珈琲(プロフ) - ちょっと内容を変更しました。97から100話、もう一度読んでいただけたら嬉しいです。それでは、今度こそ続編の準備をしてきます！ (2020年5月23日 18時) (
レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - お久しぶりです。100話が終わり、次章へと進みます。主人公の心の成長を伝えられたらと思って書いていますが、なかなか難しいですね。次章では、大きく分けて三つの問題について主人公が悩みます。それでは、ハッピーエンドへ進めるよう準備してまいります！ (2020年5月18日 14時) (レス) id: 768bd78820 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんばんは、たんぽぽ珈琲です。コロナウイルスで色々と状況が変化していますが、動かなくていいのだと思って、お菓子を作ったり編み物をしたりと、有意義な時間を過ごしていました。平和ボケしているかもしれませんが、みなさんもこの時間を楽しめていたらと思います。 (2020年4月8日 19時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 明けましておめでとうございます！先ほどスケート滑って転んで手首腫れて痛くて包帯まいてもらった作者です。本日更新したおはなしは「言えずにいたこと」です。最後となりましたが、今年もよろしくお願いします！ (2020年1月5日 13時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんにちは、作者です。生活に慣れてきたので、そろそろ更新しようかなと思っています。お待ちくださっている読者さま、ありがとうございます！ 初めて投稿した作品なので辻褄の合っていない部分などありますが、完結させたいと思います。以上、告知でした！ (2019年9月18日 10時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たんぽぽ珈琲 | 作成日時：2018年10月28日 14時
