真っ白な空間 ページ32
.
「ひさしぶり」
ふわふわで真っ白な猫が笑った。
わたしは真っ白な空間で、猫ちゃんと向かい合わせの眩しいほど真っ白なソファに座っていた、とまで思って、そこでわたしは疑問を抱く。
ーーついさっきまでコナンくんを探して走っていたはずだったのに、どうして
「きみは、どっちのせかいが、すき？」
猫ちゃんはわたしの焦りなど気にも留めずに首を傾げる。
「ーーいまと、まえ。どっちがすき？」
・
特殊なスケートボードが砂埃をあげて、前へぐんぐん進んでいく。
デコボコな土色の道から、人工的に整えられた黒い道の上にウィールが達する。
そこでやっと、スケートボードを操っていたメガネの少年が道の上に降り、その流れでスケートボードの後ろ側を軽く踏み、テコの原理で持ち上がったスケートボードの前側をキャッチ。
少年は慣れた手つきでスケートボードをピックアップし、メガネをいじりながらそのまま走り去る。
土の上に、スケートボードのウィールの跡がくっきりと残っていた。
・
「……へ、」
目の前には口を尖らせた猫ちゃんがいた。
「にんげんなんて、ほっといたらいつかは、しぬでしょ。でも、あんなおわりかた、だーれものぞんでないの。わかる？」
困惑しながら首を左右に振ると、猫ちゃんはずいっと顔を近づけてくる。
「きみは、じぶんのことしか、かんがえてないでしょ？ ぜーんぶ、きみのおもいちがいで、『登場人物』たちは、いやがってるかもしれないよね？」
「ーーわたしを？」
「さぁね？ きみの、つごうのいいように、そうかんがえてるだけかもね」
猫ちゃんが体勢を戻すと同時に真っ白な尻尾が揺れ、そちらに気が取られる。
「ここが『並行世界』だっておもいこんで、しんじて、うたがわないのは、きみがきずつきたくないからでしょ。でも、たったそれだけのことで、いえにひきこもるなんて」
『引きこもる』という単語に、耳が反応する。辛いことが脳裏に蘇る。
「ーーほんと、こまっちゃったんだから」
猫ちゃんの柔らかそうな耳が悲しげにしゅんとする。
ーー猫ちゃんの言葉がひらがなばかりで頭に入らない。わたしは、ただただ猫ちゃんを見つめるばかりだった。
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たんぽぽ珈琲(プロフ) - ちょっと内容を変更しました。97から100話、もう一度読んでいただけたら嬉しいです。それでは、今度こそ続編の準備をしてきます！ (2020年5月23日 18時) (
レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - お久しぶりです。100話が終わり、次章へと進みます。主人公の心の成長を伝えられたらと思って書いていますが、なかなか難しいですね。次章では、大きく分けて三つの問題について主人公が悩みます。それでは、ハッピーエンドへ進めるよう準備してまいります！ (2020年5月18日 14時) (レス) id: 768bd78820 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんばんは、たんぽぽ珈琲です。コロナウイルスで色々と状況が変化していますが、動かなくていいのだと思って、お菓子を作ったり編み物をしたりと、有意義な時間を過ごしていました。平和ボケしているかもしれませんが、みなさんもこの時間を楽しめていたらと思います。 (2020年4月8日 19時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 明けましておめでとうございます！先ほどスケート滑って転んで手首腫れて痛くて包帯まいてもらった作者です。本日更新したおはなしは「言えずにいたこと」です。最後となりましたが、今年もよろしくお願いします！ (2020年1月5日 13時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - こんにちは、作者です。生活に慣れてきたので、そろそろ更新しようかなと思っています。お待ちくださっている読者さま、ありがとうございます！ 初めて投稿した作品なので辻褄の合っていない部分などありますが、完結させたいと思います。以上、告知でした！ (2019年9月18日 10時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たんぽぽ珈琲 | 作成日時：2018年10月28日 14時
