寂しさ ページ47
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「事件ばっかりの、探偵ばっかりの、怖い怖い米花町だったのを、ポアロで透さんの顔を見た時にやっと気づいたし思い出したの」
あの時、透さんがわたしを見つめているのに気づいて混乱した。
あれ、どこかで見たな、梓さんに会った時にはなんとも思わなかったのに、と。
「ここは、コナンくんがいる、『名探偵コナン』の世界なんだ、って」
最初はポアロを辞めようかなと思ったけど、みんなが大好きになってしまって辞められなくなった。
お客さんが喜んでくれるポアロという場所が、大好きになっていた。
思い返してみれば、家族のお葬式の記憶が無い。お墓がどこなのかも分からない。
そんなこともあって、一人には戻れなくなった。
「ベルモットに殺されるって聞いてもういいかな、って思った。
……でもね、わたしが殺されたら蘭ちゃんや哀ちゃんが、自分で言うのもなんだけど、たぶん悲しむ。
そうなるとコナンくんが落ち込んで、最終的に組織を破滅させる時期が、伸びちゃう」
堪えてた涙がポタポタと床に落ちて息が荒くなる。
「だからわたしの事情を、わたしが死を逃れたことを偶然知った快斗くんに頼るしかなかったの」
わたしが死んだら組織によってころされる人が増えちゃう。
わたしがここに来てしまったせいで。
わたしがみんなと繋がりを持ってしまったから。
「わたしがいるせいで、けれどわたしが生きていないと、みんなが困っちゃう」
関わったのなら最後まで生き残らなければいけない。それがここでの暗黙のルール。
「確かに利用しているとも言えるかもしれないけどっ、わたしは!
……わたしは、快斗くんと仲良くなりたかった」
快斗くんが息を飲む。
わたしは息を肺いっぱいに吸い込んだ。
「自分が欲張りなのは分かってる!でも、せっかく、みんなと仲良くなれたのに、死ぬのを恐れて隠れて過ごすなんてっ、
透さんや梓さん、コナンくん、哀ちゃんと少年探偵団のみんな、蘭ちゃん、それと毎日わたしに元気をくれるお客さんに、っ」
快斗くんが理解してくれないのが辛くて、悲しくて、膝から崩れ落ちた。しゃくりが邪魔して言葉を続けられない。止めどなく流れる涙を袖で乱暴に拭う。拭っても拭っても涙は止まることを知らない。
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たんぽぽ珈琲(プロフ) - わーんいつのまにか30万hit超えてたー。嬉しいです。ありがとうございます。これからも名探偵コナンの夢小説盛り上げていきましょー! (2020年12月14日 22時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 明里香さん» 誤字の指摘、ありがとうございます。お恥ずかしい限りです……。明日までには直しますね。 (2018年11月18日 19時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - タイトルの掛け、「賭け」ではないですか? (2018年11月17日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 特製ミルクティーの話、誤字がありました。「こんな事始めて」ではなく、「こんな事初めて」です。 (2018年11月17日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 星を見守る砂岩さん» きゃー!そう言って頂けて嬉しいです!!更新頑張ります! (2018年10月13日 22時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たんぽぽ珈琲 | 作成日時:2018年8月23日 3時