少しの衝突 ページ45
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「組織って、もう少し待てばボウズたちが潰してくれるんだろ?」
な?と快斗くんはわたしを宥めるようにそう言った。
まるで、誰かを殺そうとしている人を、コナンくんが説得するみたいに。
どうして?なんで?
わたしは、快斗くんの考えが理解出来なかった。
黒の組織が潰れるまで待つの?FBIや公安が何年も前から追っていて、未だに何も出来ていないのに?
何人ものノックが見つかって殺されているのに?
それまでわたしが事件に巻き込まれないって根拠は無いんだよ?
いくらここが快斗くんの家で、米花町ではなく杯戸町だからっていっても事件は起こるんだよ?
わたしは出来るだけ静かに、言葉に感情を乗せずに言った。
「その時までに他の事件に巻き込まれて死ぬかもしれない」
「それまで俺の家にずっと篭っていれば安全だろ」
「ありがたいけどそれでは箱入り娘になっちゃう」
「どうしてお前はそんなに、っ」
わたしは口を閉じて次の言葉を待つ。
「人の言うことを聞いてくれないんだ?」
必死にそう言う快斗くんに違和感を感じた。
「Aはいつもいつも自分の考えたことだけを行なって、他のことには耳も傾けない。
他人の言っていることがそんなに信じ難いか?
そうか。それはお前が、いせかーー」
そこで彼は両手で口を塞いだ。
わたしは静かになった快斗くんをじっと見つめた。
彼が今言おうとした言葉が手に取るように分かってしまう。
あぁ、彼はわたしの元のスマホのメモを盗み見たんだ、とすぐに分かった。
わたしに同情してたから、わたしに優しかったんだ。
彼への好感度がぐんと下がる。
「……そっか。わたしの隠しごと、知ってたんだね」
横を向かずに淡々と話す。快斗くんは誤解だと言おうとするのでそれを遮って言葉を口にする。
「あ、俺は、その……」
「いい。わたしのことを知りたいって思ってくれて嬉しいけど……。まさか、盗み見られるなんて」
ちゃんとわたしを知って欲しかった。
カンニングされちゃうとは思わなかった。
メモなんて残さなければよかった。
快斗くんが知るなんて、まったく、予想していなかった。
「A、ホントにごめ」
「ーー謝らないで」
謝られたらわたしが悪いことをしているみたいな気持ちになる。
「元を辿ればわたしが隠しごとをしているのがいけないから、だから……謝らないでよ」
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たんぽぽ珈琲(プロフ) - わーんいつのまにか30万hit超えてたー。嬉しいです。ありがとうございます。これからも名探偵コナンの夢小説盛り上げていきましょー! (2020年12月14日 22時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 明里香さん» 誤字の指摘、ありがとうございます。お恥ずかしい限りです……。明日までには直しますね。 (2018年11月18日 19時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - タイトルの掛け、「賭け」ではないですか? (2018年11月17日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 特製ミルクティーの話、誤字がありました。「こんな事始めて」ではなく、「こんな事初めて」です。 (2018年11月17日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 星を見守る砂岩さん» きゃー!そう言って頂けて嬉しいです!!更新頑張ります! (2018年10月13日 22時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たんぽぽ珈琲 | 作成日時:2018年8月23日 3時