この廃れた僕達に (ページ9)

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その時彼等は。ページ9

目の前で、A二等兵が撃たれた。
彼の父親もまたこの軍に所属していたのと、戦歴が優れていてゾムがよく話してきたため、よく知っていた。

彼が大声を上げて目の前に飛び出して来たと思うと、"ﾊﾞｧﾝッ"という音がその場に響き渡り、一瞬の静寂と世界が止まったような感覚。

それから、倒れかける彼。

咄嗟に肩を掴み、支える。
彼の口からはとめどなく血が流れ出ていき、こちらが焦ってしまう。

いつの間にか、幹部の奴等が周りに集まってきていた。

気付くと彼は瞼を閉じている。
まだ、こんなに温かいのに。

「っ、しんぺい神!!」

と、柄にもなく声を張り上げたせいで周りの奴等も、呼ばれた本人でさえ驚いて返事が遅れるしまつ。

彼の体をすぐに確認すると、紙の下で焦った様に話す。

「もう時間がない！急いで手当をしなきゃ！」

そんな声を聞いたあとでも、まだこの場は静まり返っていた。