この廃れた僕達に (ページ8)

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彼の死とページ8

蒼く澄み渡った空に目を奪われた。

寒空の下でも、それは変わらない様で。

俺は恐らく体を撃ち抜いたであろうモノを理解している、筈である。

まぁしかし現実では未だに頭が追い付いていないのであろう。

今、こうして体が地面に吸い込まれる様にして倒れている間にも空や周りの声に気を配る余裕さえある。

しかし、それも長くは続かないようで。

ごぶっ、という音をたてて口から漏れだした鉄臭い血液に、現実に引き戻されたような感覚になる。

(痛てぇッ…)

撃たれたのはおそらく腹で、敵は総統閣下を撃った後、混乱に陥った幹部達も葬る気だったのであろう。しかし、それを俺に阻止された今それを実行する術はない。

瞼を閉じようとして力を抜く。

…？

一向に体が倒れない。
誰かに支えられている様だ。

口から零れ続ける血液がぼたぼたと垂れて、「あぁ、俺もう帰れないんじゃないか？」とすら思えてくる。
しかし、総統閣下を守って死ねたなら本望であろう。

この犠牲で国が、民草が、俺の…俺達の家族が救われるなら。

妹が平和に暮らせるなら。

俺はこの命を捨ててでも守り抜いてみせよう。

なぁ、父さん母さん。
俺は充分はたらいたと思います。

今からそっちに逝きますね。