田中 (ページ7)

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七章ページ7

急にピリついた空気を感じ取った九号の提案で、彼らは一旦、今までの経緯を整理することにした。
「誰が一番初めに鞄の中のおまんじゅうを発見したんだっけ？」
「俺かな、多分俺」
そう言って指先までピンと伸ばして、スッと手をあげたのは五号だった。
「俺らおまんじゅうがないって騒いでたろ？あの後いつもの様にさ、シャワーの水圧チェックしに行ったんだよ。あ、ここのシャワーやっぱいいね！じゃなかった、それでさ、シャワー室行ったら水掛っちゃってビッチョビチョになっちゃったんだよ。俺らの部屋より、マネージャー達の部屋の方が近いでしょ？だからちょおっとタオル借りるつもりで鞄を開けたんだ。そしたら…」
「そしたら廊下に５の叫び声が鳴り響いてて、僕もその部屋に行ったんだ。」
そうやって五号の話を受け継いだのは二号だった。
「おまんじゅうが鞄の中に入ってるのを見て、僕はまず１を呼んだ。」
そうだよね？と言う風に二号は一号の方に体を向けた。一号はコクリ、と頷いて話し始めた。
「おまんじゅうが盗まれてたんだ！って２が俺を呼びにきた。話していて他のみんなも呼ぼうってことになった。５がさっき４と８とすれ違ったって言うから２が呼んででこようとしてたんだけど引き止めて、俺が代わりに呼びに行ったんだ。」
一号の悪い癖だ。と皆んなが思った。二号のことをついつい甘やかしてしまうのだ。
「で、俺らは控え室で喋ってたんだけど、や、じゃなくて１に呼ばれておまんじゅうのとこに行ったわけ」
番号呼びに慣れないのか、未だに名前を呼びかけてしまう八号が発言をする。
「そのまま１は他のメンバーも呼びに行ったよね」
そうやって四号も一号に確認をとった。
「うん、俺はそのまま他のメンバーも呼びに回って、大変だったよ。中々見つからなくて。」
「悪い、俺ら外で日向ぼっこしてたんだよね」
そう言って六号が七号の方へ視線をやると、エッエッエッと何とも奇妙な笑い方で七号が肩を揺らしていた。
「俺はいつもみたいに体のメインテナンスしてて」
そう言ったのは三号で、なるほど、だからこの体の引き締まり具合なのか、そうやってみんなが納得していた。
「で、俺はその様子をビデオを撮ってたんだ。」
最後に九号がそうやって話を締めた。
そうやってマネージャーの部屋に集まった九人は、鞄の中のおまんじゅうを見て、こうして机を取り囲むことになったのだった。