三章 ページ3
「何か…分かんないけどstrange…違和感を感じる。確かに俺たちはあの人の鞄の中からおまんじゅうを見つけたよ?でもだからと言って彼女がおまんじゅうを盗んだって決め付けるのはダメじゃないかな…?」
そんな彼の言葉で場が一斉に静かになる。
「でもさ、おまんじゅう盗む方が悪いじゃん!俺らに一言言ってくれりゃあ分けてあげたよ!」
と反論したのは八号だった。
「ほんとだよ、おまんじゅうぐらいいくらでも買ってやるよ!」
「え、じゃあ今度俺におまんじゅう買ってね」
八号に便乗したのは五号で、そんな男らしさを感じる彼の発言に七号が嬉しそうにおねだりをした。
「ちょっとちょっと話ずらさないでよ」
わちゃわちゃし出した二人を、日本人離れした、ビー玉の様な目をギラギラさせて、一号が叱った。
場が少し混乱したのを見受けた九号が皆んなに問うた。
「誰か他に意見ある人いる?」
そこでしなやかな黒髪をかき上げて三号が冷静に発言した。
「そもそも4は、あの子がおまんじゅうを盗んでないかもしれないって言う前提を提示したいんだよ。だから8のおまんじゅう盗む方が悪いって意見は全然反論になってないよ」
「じゃあなんでおまんじゅうはあの子の鞄に入ってたの?8のが全然反論になってなくてもおまんじゅうがカバンに入ってたことには変わりないよ」
そんな彼に一号がすぐさま反論した。
「それは…」
言葉に詰まって黙り込んでしまった三号を尻目にまた茶番が始まってしまう。
「例えばあれはおまんじゅうじゃなかったとか!?」
「は!?もしやあれはおまんじゅうと見せかけて!?未確認生物!?」
とまたもや悪ノリしだす五号と七号。
「真面目にやれ!」
今度は九号も怒って、二人の頭を軽く叩いた。
「違ったのはおまんじゅうじゃなくて、鞄だったんじゃない?」
少し議論から逸れ、皆んながおふざけモードに入った時、そう呟いたのは2号だった。
「おい、お前までふざけないでくれ…あれが鞄じゃなかったらなん…」
「そうじゃなくてさ」
少し焦りはじめた九号を落ち着いた風に遮った彼はこう言った。
「あの人、自分の鞄と僕たちの鞄、間違えたんじゃないの?」
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作者名:田中 | 作成日時:2020年5月8日 21時