田中 (ページ11)

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十一章ページ11

ふう、と一息ついた三号にお見事！と言わんばかりに二号が拍手を送る。そんな彼の姿を見て八号が珍しく目を吊り上げていた。
「お前！よくも騙したな！？」
そんな彼に、ごめんね、と申し訳なさそうにしながら口を開いた。
「すごいねゆーてぃー、流石だよ。でもねちょっと真実は違うんだ。」
そうやって彼は穏やかに、犯行を自白した。

遡ること三時間前…
「これ！スタッフさんが俺たちにっておまんじゅうの差し入れだって！」
そうやって宏太が持ってきてくれたのは、僕の大好きなこしあんがたっぷり入ったおまんじゅうだった。
「一人一個だからね！」
そうやって宏太が牽制しているのを片耳で聞き流しながら、僕は絶対全部食べてやろうと心に決めていた。
皆んなが部屋からいなくなるタイミングを伺っているけれど、大貴が中々部屋に居座っていて、おまんじゅうを食べちゃう機会がなかった。僕は諦めて、一旦トイレに行ったんだ。
そしたらびっくり、帰ってきたら大貴がおまんじゅうを両手に持って豪快に食べ尽くしていたんだよ。

そうやって語る二号、もとい知念侑李の話を受け継いで、五号、もとい有岡大貴も犯行を自白し始めた。

両手にまんじゅう！なんて幸せなんだ。皆んなが部屋を出るのを見計らって至福の時を味わっていると、扉のところに知念が立ってて、本当にびっくりした。絶対怒られる、そうやってギュッと目を瞑って覚悟を決めたんだけど、意外にも知念は怒らなかった。そして彼は言ったんだ。
「考えてることは同じだね」
　黙っておくから、僕にも半分分けてくれ、そういう知念に負けて俺らはおまんじゅうを半分ずっこした。その時はすごい幸せだったんだけど、おまんじゅうがないってバレた後、伊野ちゃんと光くんがすごい大騒ぎしてて、二人だけじゃなくて山田とかもめっちゃ怒ってたから、これはまずいって焦った。それで知念とシャワー室で作戦会議をすることにした。

　彼の話に頷いて、また語り手が交代する。