モノクロダイアリー【狗巻棘】

3. 別れまでの始まり ページ16

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「みんなにサプラーイズ！」






そう言って拳を天井に突き上げる悟。


多分、この中にいる誰よりも子供みたいでつい笑いそうになった。




なぜならそう、俺たちはすでに＿＿＿







「転校生だろ」


「かわい〜い小柄な女の子」


「しゃけ」


「なんで知ってんのォ！？」







悟は口を尖らせてながら引き戸を開けて何やら廊下側に呼びかけた。




学校の扉特有の、頭の位置についている透かし窓の向こうに黒い髪と俺らと同じ制服が揺れる。







「じゃ、自己紹介……してクダサイ」








ちょうど今から1年前。


高専の木々が黄色に染まり始めた10月のことだった。






「アメリカから来ました」






忘れたくても、きっと忘れられない。


これが、色摩柚季との出会いだった。








「色摩柚季です。よろしくお願いします」









もう気づいていると思うけれど、これは俺の、





いや、俺と彼女の別れと＿＿＿＿再会までの物語だ。

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