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十一話 ページ21

「お前今日非番だから」



びしぃっとAを指差しながらそう云う中也に、了承しました。と返すA。




その間も中也はパタパタと着替えていく。




「…ありゃ?帽子何処だ?」

『此方に』




キョロキョロと辺りを見渡す中也に、Aは帽子を差し出す。中也はありがとな、と言って受け取った。





「んじゃ、行ってくる。」

『お気を付けて行ってらっしゃいませ』





深々とお辞儀をしながらそう云うAに見送られながら、中也は自分が仕える会社へ向かう。




「…しっかし…あの変に畏まった態度はどうにかならねェかなぁ…」



と云いながら。




──────
ぼんやりと、Aは中也が出て行ったドアを見つめ、鍵を閉める。




もし強盗なんぞに入られたら顔向け出来ない。







…もし、彼にも”要らない”と云われたら?
”価値など無い”と云われたら?






厭な想像だけが膨らむ。


『…きっと大丈夫。そんな事は慣れっ子だもの。』








だから。だからね。

全然綺麗じゃない私を見ないで。
何も知らず、そのままでいて。






私は、生きる価値なんて無いんだから。





…なんて、そんな事を知ったら、彼はどんな反応をするのかしら。とてもじゃないけど、そんな事、云え無いけどね。

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さち - 今一気読みしました!!中也さんに頭撫でて貰うシーンが凄くにやけちゃいました。更新頑張ってください!! (2019年9月25日 20時) (レス) id: 50e2c8124c (このIDを非表示/違反報告)
麗華三日月 - 良いですね!其れは安心しました!元気なのが一番ですもんね! (2019年5月30日 21時) (レス) id: b8888aeaec (このIDを非表示/違反報告)
たま猫715(プロフ) - 麗華三日月さん» ありがとうございます…!私、結構体は丈夫なんですよ〜。やっぱり健康第一ですかね(笑) (2019年5月30日 9時) (レス) id: 1d5aed1ffe (このIDを非表示/違反報告)
麗華三日月 - はい!暑いとやる気が出ないですが、たま猫715さんの作品を読むと元気が出ます!無理しすぎないで下さいね。楽しみにしてます! (2019年5月30日 7時) (レス) id: b8888aeaec (このIDを非表示/違反報告)
たま猫715(プロフ) - 麗華三日月(セイレーン)さん» お久しぶりです!最近暑くなってきましたね!これからも頑張って更新しますね! (2019年5月29日 22時) (レス) id: 1d5aed1ffe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たま猫715 | 作成日時:2019年4月19日 16時

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