鸚鵡花 ページ3
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「初めまして瑩音ちゃん」
うざったい黒い髪とやつれたような目が特徴的な人だった。
衛宮切嗣。随分と煤けたような見た目に対して鋭い名前が戦場を思い起こす
「……君はこの街で暮らしていたのかい？」
申し訳なさそうな顔とともに質問が降りる。そんな気遣いは無用だ
首を横に振ってそれを示す。
男を見つめ続ければ、彼はそばの椅子に座り込んだ。
「君にはなぜか戸籍が無くてね
ああわかんないか とりあえず苗字覚えている？」
わからない。それを示すように自分は動かない。
「そうか＿＿僕は切嗣 衛宮切嗣
覚えてないかもしれないけどあの大火災の時に一度だけあっているんだ」
私は動かない
「……ねえ瑩音ちゃん、君はこれから教会に引き取られるだろう
でももしよかったら。僕と一緒に来ないかい？」
教会という単語に恐怖したからかもしれない。
その目が余りにも悲しかったからかもしれない。
きゅっとシーツを握りこむ。彼は微笑を湛えたまま娘を見るように自分を見つめた。
私は小さくうなずいた
＿＿＿＿＿
色々な手順を組んだ後実際に衛宮切嗣という男性の家に行ったのは一週間後の夜のことだった
月が照らす夜道が異様に明るい。ぽっかりと空間が開いたような冬の夜。
病院の外は初めてで、ずっと本でしか見たことのなかった景色は生憎見えないが、不思議と心の動くものがある。となりの無骨な手が自分の手をすっぽりと覆っていた。
傷一つ付いていない私の手を。
白い肌のまま。
『まさかあの状態で回復するとは………内臓なんてぼろぼろだったぞ』
『…子供の回復力といっても異常ですね……
数ヶ月で完治するなんて ずっと眠っていたとしても不思議です』
「どうしたの瑩音ちゃん？」
心配するように覗き込んでくる瞳に首を振る。大したことではない。感傷に浸っていただけ。
ふと空を見上げた深淵を照らす月光、美しい月、白い月が私たちを照らしている。
横の切嗣さんも自分を習ってか上空を仰いだ。
「そういえば最近月なんて見てなかったな」
『見■■■ぞ■の■屑』
ひくりと喉がなった。急に汗が吹き出すような恐怖に包まれた。下腹が疼くような、身体中を蛇が回るような不快感。怖いわからない怖い黒い何かが怖い
「大丈夫？」
ざわざわと揺れる草木が影を作る。暗い夜の帳が落ち、濃密な月光の香り。
くしゃりと眉根を寄せて、吐き捨てる。
「……私は月は嫌いです」
その言葉に切嗣さんは困ったように笑った
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タマモキャットガチ勢(白い犬)(プロフ) - ゆっくりさん» お！！！？？慈悲深き神！？嬉しいです〜〜。勘違いじゃなければ短編集の方でもコメントを頂きましたかね？その一言で２０話は投稿できます〜〜本当に感謝！ (2019年11月21日 19時) (
レス) id: 1561dbe350 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくり(プロフ) - 大好きです。 (2019年11月20日 22時) (レス) id: a6728b9117 (このIDを非表示/違反報告)
タマモキャットガチ勢(白い犬)(プロフ) - ぐみさん» ありがとうございます！この作品を優先的に最終話まで行かせたい………ヴッ (2019年7月1日 17時) (レス) id: 1561dbe350 (このIDを非表示/違反報告)
ぐみ(プロフ) - 我が生涯にいっぺんの悔いなし(血涙)この作品も読ませてもらってます.....頑張ってください.... (2019年7月1日 2時) (レス) id: 46a85766e5 (このIDを非表示/違反報告)
赤眼のわかめ - はい！この作品も最後までついて行きます！ (2019年6月30日 15時) (レス) id: abeb3a86ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わんころ | 作成日時：2019年6月2日 16時
