薊 ページ2
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『どうして何で」
『……もうだめだ引き渡そう』
『準備は出来ましたか？
大丈夫です 彼女の今の状況を我々も理解しています。きっと治りますよ 前例もあります』
『ああ私の可愛い娘____無事に帰ってきてね』
『では早急に』
『ふむ＿＿＿＿＿君名前は？』
知らない文字の羅列。全く知らない人達。
奇妙にあったその空間。自分一人が座っている。
逃げなくちゃと思った。
けれども着いた先は暗い森。凍える息では照らせない。
頰を濡らすのは期待なのか絶望なのか、知らずに走り続けていた。
襲いくる植物達が自分を端から捕食する。
気づけば何処か大きな湖の側だった。
手にコロンと小さな赤い実が落ちている。グチュリと口の中で潰れた
＿＿＿＿＿いや潰れたのは私の期待だったのかもしれない
私は何でここにいるのかわからなかった
クリーム色の煉瓦が恋しい、咲き誇る花が恋しい、美しい湖が恋しい
どこかもわからぬ景色に恋い焦がれる自らは一体何。
苦しく喘ぐ喉から漏れる悲鳴のような叫びが辺りをふるわした。
そしてそのまま何もかもを恋しく愛しく思いながら深い眠りにつく
『＿＿＿＿＿私月は嫌いよ』
＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿
ハッと少女の目がさめた。音を立てて揺れる脳を腕で抑える
なんだかとても壮大な夢を見たような気がする。目を伝う涙がそれを証明していた。
肩の力を抜く。側からヒラヒラと揺れる白いカーテンからは木漏れ日が差し込む。
真っ白い空間＿＿＿＿＿病室？ツンと鼻を指す消毒液の匂い。
その瞬間がらがらと何かが崩れる音がした
「…そ っそんな！ 院長！院長！早く来てください！」
目を見開いた看護師
訳もわからずに少女はきょとりと首を傾げた、一体何を驚いて。
バタバタと音がして少しした後に白衣を着たおじさんが少女の体を見て目を見開く
「…………君名前覚えてる？」
名前……名前…
「………シュテルネン？」
少女、いや自分はそんな湧いてきた言葉を突発的に口に出し、失敗したと覆う。
「テルネ？ああ…てるね＿＿＿＿君 急いで調べてきて」
「はい！」
パタパタと揺れる白い服が見える
白衣の医者は佇み、その瞳でこちらを射抜く。
「よくあの大火災から生還してくれて本当に良かった
大丈夫だ 君を引き取ってくれる人がいる。大丈夫、大丈夫だ。」
振り絞る様な声。わからない。
頭は割れるように痛く、耳鳴りがし続けていた。
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タマモキャットガチ勢(白い犬)(プロフ) - ゆっくりさん» お！！！？？慈悲深き神！？嬉しいです〜〜。勘違いじゃなければ短編集の方でもコメントを頂きましたかね？その一言で２０話は投稿できます〜〜本当に感謝！ (2019年11月21日 19時) (
レス) id: 1561dbe350 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくり(プロフ) - 大好きです。 (2019年11月20日 22時) (レス) id: a6728b9117 (このIDを非表示/違反報告)
タマモキャットガチ勢(白い犬)(プロフ) - ぐみさん» ありがとうございます！この作品を優先的に最終話まで行かせたい………ヴッ (2019年7月1日 17時) (レス) id: 1561dbe350 (このIDを非表示/違反報告)
ぐみ(プロフ) - 我が生涯にいっぺんの悔いなし(血涙)この作品も読ませてもらってます.....頑張ってください.... (2019年7月1日 2時) (レス) id: 46a85766e5 (このIDを非表示/違反報告)
赤眼のわかめ - はい！この作品も最後までついて行きます！ (2019年6月30日 15時) (レス) id: abeb3a86ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わんころ | 作成日時：2019年6月2日 16時
