6話 ページ6
お昼時。
私は今日の放課後、大先生から恋愛相談と称したお出かけに誘われていた。
「なーAちゃんこの通りやってお願い！」
高校生活最後の僕との思い出づくりやと思って、な？
とコネシマと同じくらい顔のいい大先生に言われてはこう…クるものがある。
気づけば私は首を縦に振っていた。
小さくガッツポーズをする大先生。
そんなに喜ぶことか？と言う疑問はすんでのところで留めておいた。
まぁ、頼られてイヤな気はしないよ、ウン。
そう言えばだ。
この鬱という男は、
「ん、食べる？」
青春時代を全て女のために費やしてきた恋愛強者なのである。
即ち、私は背中いっぱいに嫉妬の矢を浴び続けているのと同義なのである。
「アー、ありがとう。」
腐っても三年間部活動を共にしてきた仲だ。
私はNOと言える日本人では無いのだから。
最早授業とは言えない座学を軽く聞き流し、気づけば放課後。
生憎私は掃除当番にあたっていたので、ソレを終えてから下駄箱に向かう。
「ごめん待ったよね？」
「おん、そりゃあな」
と、この前みたくカラカラ笑う鬱。
「そこは嘘でも待ってないって言えよ、ばかめ。」
「デートじゃ無いしエエやろ」
「それはそう。」
二人並んで歩き出す。
「そいや、何処行くつもりなの？」
ふと疑問に思ったことを口に出す。
「ンー…何処やと思う？」
と意地悪げに聞いてくる鬱。
「んへ、知らなーい！」
にしても、と私は足を止める。
「もう直ぐみんなとお別れかぁ。寂しくなるね」
「嗚呼、せやなぁ。」
少ししんみりしている私たちの空気を嘲笑うかのように、太陽は燦々と輝いていた
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作者名：あるかろいど有機 | 作成日時：2024年3月9日 17時
