【wrwrd】君が振り向くn秒前【kn】 (ページ1)

今日:2 hit、昨日:11 hit、合計:4,030 hit

1話ページ1

オトメ

それ即ち夢見る生き物である。

口を開けばやれ彼氏だ好きピだと、恋の恋による恋のために生きる種でもある。

マァ、その分かわいく生きる努力を惜しまない所に惹かれるのだけれどね。

その苦くて甘いアオハルを拗らせ三年間。

JKブランドもあと一週間。

嗚呼神様。

どうか私AAに、彼に近づく勇気を下さい…

彼、と言うのは捏島孝之のことだ。

サラサラの金髪に、有り得ないほどに透き通ったスカイブルーの瞳、健康的に焼けた肌

それはそれは容姿が整っている所謂勝ち組の彼。

私に数多のライバル達がいることをわかっていただきたい。

でもね、だからと言って諦められるワケないの。

たとえ私が彼と結ばれる確率が、芥子粒くらいにほんのちょっぴりでも。

大学受験を終え、聞くこともないので薄くなった担任の頭をじっと見つめて考える。

「なんやAちゃん、ボーッとして。らしく無いなァ。」

ア、もしかしてまたコネシマのことで悩んどるん？

なんて私の悩みをバチ当てしてはカラカラ笑う前の席の彼。

名前は鬱島大。

通称鬱とか大先生とか。

因みに、此奴に尊敬すべき所なんてものは無い。

女誑しな上に浮気性の屑野郎だし。

唯、なんでも捏島君と幼稚園からの仲だとか。

くそう、羨ましい。

そんなことを本人に言うのは些か気が引けるから、話を逸らすに限る。

「前向きや鬱、授業中」

「ああん、ちゅめたい！」

クネクネと身を捩らせて前を向く鬱。

怒られてやんの、ざまぁないね。