ユメのカケラ2

観覧車 ページ8

youside


｢夜景、綺麗だね｣

『うん、』

ゴンドラに二人っきりとなったら会話が一気に減った。

私もふくちゃんも緊張してる様子。


『あのさ、A』

｢なぁに？｣

『Aは今、幸せ？』

どうしたのかな、ふくちゃん、なんか違うな…

｢幸せだよ。ふくちゃんと出会えて、こうやって2人でデート出来て、幸せすぎるよ｣

『Aはさ、こんな僕が彼氏で…幸せ？』

｢うん、ふくちゃんじゃないと幸せになれない｣

『そっか…ありがとう』

｢いきなりどうしたの？｣

『あのね、A、僕がいつ二軍に落ちるかも、怪我するかも、トレードなるかも、この先のことは何もわからない。でもね、ずっとAのそばにいたい。Aを幸せにしたい。野球選手は遠征もあって夜遅くに帰ってきたりすることもある。デートも少ない。それに僕はそんなに強くないし、幸せにできる保証なんてどこにもないけど、Aを絶対幸せにする。こんな僕だけど、これからもそばにいてくれるかな?』

涙を堪えて頷くことが精一杯だったけど

｢そんなふくちゃんがいいんだよ。何があってもふくちゃんのそばにいる。私もふくちゃんを幸せにできるか分からないけどこれからもよろしくお願いします。


！！！｣


不意打ちのキス。

私のファーストキス。

初めての感覚、初めてのドキドキ。


『A大好きだよ。』

そう言って不器用に頭を撫でてくれたふくちゃんの顔はさっきよりも赤かった。

観覧車デートは定番なんかじゃなかった。特別なデートだった。


ファーストキスがふくちゃんで、良かった。


沢山泣いて、沢山笑った今日のデート。

私の肩にしみるふくちゃんの涙は私の特権。

頼られる彼女になれるように

ずっとずっとふくちゃんのそばにいるよ。

不器用なふくちゃんだけど、そんなふくちゃんのすぐ横で笑える私は幸せものだ。

ふくちゃん、これからもよろしくね。

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