ユメのカケラ2

2 ページ37

Youside

｢お姉さんスタイルいいね〜｣

はっ！いきなり声をかけられ、心臓が痛いほどバクバクしだした。

聞いたらわかる、瑞輝ではない声。

嫌だ、嫌だよ…


｢聞こえてんのか？逃げれるもんなら逃げてみろよ。無理ならほら、行くぞ｣

声を、振り絞って

｢どこに…ですか､離してください｣


｢どこに行くかなんて着いてからのお楽しみだよ。｣


声がでない、考えることもできない。

ただただ引っ張られるまま。


私、死ぬんだ。

もう、ダメだ。


男の言われるがまま、棒立ちになっている私…


他に人影もなく、建物に挟まれた道は、目も届くはずがない。


誰かに助けを求めても、誰も助けてくれない。


｢ほら、はよ行くぞ。女のくせに生意気なんだよ。殴られないとわかんないのか？今からお前を殴ってもいいぜ。お前見てるとイライラすんだよ｣

私の腕は男に掴まれてもう限界。


一瞬だけ、ほんの一瞬だけ顔を見た。

その時ハッとした。

なぜなら高校のとき、私に何度も告白してきて、その度に断ってきた同級生だったから。


｢どうせつまんねー人生送ってんだろ。お前みたいな女が幸せになれるわけねーからな。死んだら楽になるぜ？殺してやるぜ？俺がどれだけ悔しい思いしてきたか分かってんだろーな。うざいんだよ。消えろよ。｣


｢なんなのよ、何よ今更。私は幸せだよ。だから離してよっ！｣

｢離すわけねーだろ。じゃあお前の彼氏ってやつを殺してやろーか。そしたらお前も死んでくれるだろーしな。｣


瑞輝だけは…瑞輝だけはダメ……

もうダメだ……





助けて……









『殺せるもんなら殺してみろ』

3→←恐怖

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す