【JW】花束で彩って【青×緑】 (ページ12)

今日:2 hit、昨日:13 hit、合計:16,207 hit

12 ページ12

.

パンケーキ代は受け入れてくれたのに、一向に仕事に行こうとしない神ちゃん。

やっぱりサボり魔やった？仕事が無ければこの後どこに連れ回してくれたんやろって正直気になるけど。

「俺はここでええから、仕事戻り」

「なぁ、流星」

無言だった神ちゃんが車の前まで来て俺の方を向く。
何故か神ちゃんの方が苦しそうな顔で口を開いた。

「なんかあったら、ちゃんと言ってな。力になりたい。」

その目は真剣で、俺が必死に隠してきた苦悩と、その奥にある恋心も見透かされてるみたい。

この気持ちに助けを求めてええんやろか。

「ありがと、」

今は作り笑顔でそれを言うだけしか出来なかった。神ちゃんに背を向けて歩き出す。

後ろで車のドアを開ける音がした。

大丈夫。

そう言えるのはまだ先かもしれんけど、しげのあの顔を見て苦しかったと同時に俺の中でなにかが吹っ切れた。

ずっと諦めてたはずやけど、自分に言い聞かせてただけで心のどこかではまだ諦めきれてなかったんやろな。

俺は演出家。しげが輝く方法なら、俺が1番知っとる。
そしてしげのことが大好きや。しげが決めた幸せを、最高の形で彩りたい。

明日はウエディングケーキの打ち合わせやったっけ。

あぁそうや。前回、担当の桐山さんが気さくな人やったから、しげがケーキ入刀をBBQの肉に変えようとか言い出したんや。茉莉さんの為にもそれだけは阻止せな。

今日はもう神ちゃんに甘えて休んでしまおう。