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白を基調とした洋風建築。
まさか、本当にしげとここに来る日が来るなんて。



「じゃあ、式場を貸すだけで良いんですね」

「はい!プランはこっちの藤井に任せるので!」



大阪の式場。まだ若そうなオーナーさんやなぁ。



「では、何かありましたらこちらに」

「あ、よろしくお願いします」



中間と書かれた名刺を受け取る。
急いで俺も名刺を用意した。



「へぇ〜、演出家してはるんですね」

「そうなんですよ!この前はあのアイドルのライブもやってて!」

「ちょ、そんな言わんでええから」






大学は、しげと別れて東京で演劇専攻に進んだ。表に出ることを勧められたこともあったけど、やっぱ演出家になりたくて。

小さな劇団の演出から始まって、最近はテレビに出るようなアイドルのライブをプロデュースして、少しずつ仕事が出てきた所だった。



「わざわざ俺の為に大阪戻ってきてくれてありがとうなぁ」

「久しぶりに大阪帰ってきたかったし。約束、やったし。」



有名人の結婚式もたまにプロデュースすることはあった。その度にあの日の約束が俺の胸を締め付けて、自分の未練がましさに呆れていた。
だから本当に結婚式を頼む連絡が来た時は、心臓が止まるかと思った。



「ドレスはまた別でお願いしてるから、式だけお願いするわ」

「わかった」

「でもまだ迷ってんねん。どれも茉莉に似合ってて俺も選べんのやけどな笑」



スマホで見せてもらった綺麗な花嫁さん。色んなドレスを試着して、笑顔で映るその姿は幸せそのもの。
それを愛おしい目で眺めるしげに、苦しくなる。


そんなこと分かってたのに、しげの晴れ舞台はやっぱり俺がプロデュースしたかった。

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作者名:たく | 作者ホームページ:https://twitter.com/HSJW_Taku?s=09  
作成日時:2021年10月11日 18時

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