2 ページ2
.
白を基調とした洋風建築。
まさか、本当にしげとここに来る日が来るなんて。
「じゃあ、式場を貸すだけで良いんですね」
「はい!プランはこっちの藤井に任せるので!」
大阪の式場。まだ若そうなオーナーさんやなぁ。
「では、何かありましたらこちらに」
「あ、よろしくお願いします」
中間と書かれた名刺を受け取る。
急いで俺も名刺を用意した。
「へぇ〜、演出家してはるんですね」
「そうなんですよ!この前はあのアイドルのライブもやってて!」
「ちょ、そんな言わんでええから」
大学は、しげと別れて東京で演劇専攻に進んだ。表に出ることを勧められたこともあったけど、やっぱ演出家になりたくて。
小さな劇団の演出から始まって、最近はテレビに出るようなアイドルのライブをプロデュースして、少しずつ仕事が出てきた所だった。
「わざわざ俺の為に大阪戻ってきてくれてありがとうなぁ」
「久しぶりに大阪帰ってきたかったし。約束、やったし。」
有名人の結婚式もたまにプロデュースすることはあった。その度にあの日の約束が俺の胸を締め付けて、自分の未練がましさに呆れていた。
だから本当に結婚式を頼む連絡が来た時は、心臓が止まるかと思った。
「ドレスはまた別でお願いしてるから、式だけお願いするわ」
「わかった」
「でもまだ迷ってんねん。どれも茉莉に似合ってて俺も選べんのやけどな笑」
スマホで見せてもらった綺麗な花嫁さん。色んなドレスを試着して、笑顔で映るその姿は幸せそのもの。
それを愛おしい目で眺めるしげに、苦しくなる。
そんなこと分かってたのに、しげの晴れ舞台はやっぱり俺がプロデュースしたかった。
176人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たく | 作者ホームページ:https://twitter.com/HSJW_Taku?s=09
作成日時:2021年10月11日 18時