拾われた先はキンプリハウス

『同じ人』 ページ5

S:廉



医者「子ども2人だけで
生きていける人なんていないよ」



「だったらどうしろって言うの。
もう、ほっといてよ。いこ、海人。」



海人「(こくん)っ！！うっ…」



海人が歩き始めた途端
急にしゃがみ込んだ。



「どうしたの？」



医者「その子は、まだ歩くのは難しいよ。
足を捻挫しているから。それに全身も怪我だらけ。」



「海人、背中乗って。」



僕の怪我なんかどうでもいい、
とにかく海人を連れてここから逃げ出さないと。


医者「待ちなさい。」



「……はなせ」


医者「君たちが良ければ
俺らのお家に来ないか？」



「………は？」



こんな大人を信じたらダメだ…



医者「もちろん、時間はあるから。
ちゃんと2人で考えてみるといいよ。
今日はここで一緒に一晩とまりな？」



…
…
…



「海人、あんなやつ信じちゃダメだからね」



海人「……ぃぃひと…」



「海人！」



海人「っ！！」



「ごめん…けど、そんなに簡単に信じたらダメ…」



海人「………ゃさしかった…ょ
ぃっ…かぃ…も…たた…なかった…」



「叩かなくても、いつか僕らを嫌いになる」



海人「…ゃさしかった…の…ぁたたかぃ…て」


「………海人は…あれのこともあるだろ？」



海人「…………ん。…ぃわ、なぃ…」



「言わないの？」



海人「…ぃぇなぃ……ね、がぃ…」



「海人がいいたくないならいいよ。」

…
…
…



医者「決まったかな？」



翌朝、首に変なのをぶら下げて
僕たちのいる部屋にきた。



「……」



海人「(ツンツン)」



「分かってる。……いく…けど…
海人に変なことしたら、殺してやる」



医者「こーら。そんな言葉使わないの。
でも、叩いたり蹴ったり絶対しない。それは約束ね」



まっすぐみる目はキラキラしてて、
嘘ついてるようには見えない。



信じてみてもいいのかな…



医者「じゃあ、自己紹介からしようかな。
俺は紫耀。ここの病院で働いてる。
俺の兄弟は俺入れて、4人。みーんな男。笑」



「……」



紫耀「2人の名前教えて？」



「…僕は廉…、こっちが弟の海人」



紫耀「2人はよく似てるね。」



「僕たち同じ人…」



紫耀「同じ人？あぁ、双子？」



「ん…」



紫耀「似てるもんね。
ちなみに俺も、兄貴いるけど1人は双子だよ。」



「いっしょ…？」



紫耀「うん、一緒」

『新しい家』→←『片割れ』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す