拾われた先はキンプリハウス

『反省』 ページ47

S:紫耀


「どうせすぐ帰ってくるよ」



優太「だね。」



玄樹「ほら、もう泣かないの。
ちゃんと帰ってくるから大丈夫。」



そうみんなで言ってたのに、
12時を回っても帰ってこない。



「探してくる」


優太「まって、もうこんな時間。
警察に連絡しよう。」



「…わかった。」


もし、事故にあったら。



もし、誘拐されたら。



もし、変な事件に巻き込まれたら。



なんであんなこと言っちゃったんだ。



あれ？勇太とちゃんと話したの
いつぶりだろう。



ちゃんとご飯食べてたのかな。



ガリガリだった…？



今までどれだけ勇太のことを見ていなかったのか
急に理解し始めた。



「俺勇太とちゃんと話したの久しぶりかも」



玄樹「俺なんかまだ話してない。」



優太「おれも、双子ちゃんにばっかりだった。」



「ごはん食べてたのかな。」



優太「……おべんとう…」



3人「えっ…」



ずっと、ずっと学校に持って行ってなかったのか。



「いつから？」



カレンダーを見ると
『授業参観』や『校外学習』の
文字があった。



なんも見てやれてなかった。



すぐに警察が来て、
探してくれた。



5時間経っても特に
見つかった連絡はなかった。



もう朝だ…



…
…
…


「はぁ…俺も探してくる。」


優太「紫耀？少し寝な？」


「いや、探してそのまま向かうわ仕事」



流石に弟のことが心配でも
大人として医者としてそう簡単に休めない。



玄樹「仕事行くなら、少し休んで？」



「いや、大丈夫。いってきます」


俺のせいなんだから
ちゃんと責任を取らないと。



優太「待って、紫耀。電話…
もしもし、……はい、………はい。わかりました」



「なに？」



優太「見つかった。
病院に連れて行くって。」



「わかった。いく…」



優太「俺が運転するから、
玄樹と紫耀は下の双子連れてきて。」



…
…
…



「っ、勇太…勇太！」



優太「紫耀、ここ病院。静かに。
1番混乱してるのは勇太だろ？
そんな感じで紫耀が部屋に入るなら
俺は許可出さないよ？」



「…ちゃんと、するからっ…」



優太「んーん。落ち着けてない。
大丈夫、大丈夫。まず、落ち着こ？」


厳しくも優しい優にぃ…



優太「な？落ち着けた？」



「ん、ごめん…」

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