拾われた先はキンプリハウス

『ごめんね』 ページ25

S:玄樹


紫耀「おいで、廉くん。
頭打っちゃったね。どこ打った？」



廉くんのことは紫耀に任せて、
僕は海人くん…



海人「……かい、…わるくない…」



「悪くないの？
廉くんのこと押して、廉くんに怪我させても
海人くんは悪くないのかな？」



海人「…僕、違う…わるくない…泣」



「どうして、海人くんが泣くの？
痛いのは廉くんだよ？」



海人「…ぼくいらない…ごはん…」



「ご飯いらなかったら、
廉くんのこと押してもいいの？」



海人「………だめ、…泣」



「ダメだよね。そしたら、
海人くんは廉くんに言わなきゃいけないことあるよね」



海人「れんくんごめんねする…」



「じゃあ言ってきな？」



トボトボと、廉くんのところに
歩いて『ごめんなさい』って謝った。



廉「んっ、んん…海くん、ゴンって…」




紫耀「うん、痛いもんね。
海人くんがごめんね、って。」



廉「んぅ…」



機嫌悪くなっちゃってるよ、廉くん。



…
…
…



「寝た？」



紫耀「寝た…」



あれから2時間くらいぐずぐずで
大変だった。



海人くんも結局泣き疲れて寝った。



子どもの体力ってすごい…



僕も、虐待児のカウンセリングをしてるから、
これからの大変さがすごくわかる。



虐待された子は自己肯定感が低く、
小さい物音にびっくりするほど、
敏感になる。


そして、厄介なのが
お試し行動。



いけないと分かりながらも
あえてその行動をする。




これがかなり難しいと思うんだ…


怒る時はちゃんと怒らなきゃいけないんだけど、
その加減も難しくて。



それに、僕らは子育ての経験がないからさ。



これからの僕らの生活は
大変なことがたくさんだね。



でも、その分幸せにしてあげたいなって
心から思える。

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