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温もり57 ページ7

「連れてきたわ〜」


オロチさんは私が目覚めたところと同じところに居た。


「悪かったな」


「じゃあ私はこれで〜」


そういうとえんらえんらさんは煙を巻き、姿を消した。


「……帰るぞ」


と、オロチさんは私を強引に抱き上げた。

乱暴で少し怖かった。

家についた頃もまだ不機嫌な様子で、遊んでとせがむこまりを無視した。


「ごめんなさい……」


私は深く頭を下げた。


「私、いっぱいわがまま言って、沢山迷惑かけた……ごめんなさい」


今思えば私はかなりわがままだったのかもしれない。

甘えすぎていた。

鬱陶しいのだろう。


「私、もう甘えないから……だから怒らないで……」


足元が滲んで見えない。


「ごめんなさい……」


すると、オロチさんは私の頭をぽんぽんと叩いた。

恐る恐る顔をあげる。


「……怒ってなどいない」


オロチさんは私をぎゅっと抱きしめた。


「……怒ってる。いつもより力強い……」


と言うとオロチさんはすぐに力を緩めた。


「痛かったのか」


「ううん。ちょっと怖かった……」


今度は優しく抱きしめてくれた。


「……別に無理しなくていいよ。私子どもじゃないもん。もう甘えなくても平気だし……」


「……じゃあ何故Aは私を離さない」


「……謎の力が働いてくっついてるだけ。意思じゃないよ」


私が意味の分からない言い訳を言う。


「甘えられるのもわがまま言われるのも悪くない。まだ足りないくらいだ」


「……ねぇ、キスマークって知ってる?」


ふとえんらえんらさんの言っていたことを思い出したので聞いてみた。

するとオロチさんは突然むせた。

顔はタコみたいに真っ赤っかだった。


「これキスマークって言うんだって……本当かはわかんないけど」


と、そのあざを見せた。


「み、見せなくていい」


オロチさんは視線を逸らした。


「Aちゃん、ご飯よ」


一階からママの呼ぶ声が聞こえた。


「は、はーい」


オロチさんは抱きしめた手を離した。

私も手を離すが名残惜しかった。


「……どうした」


「あと5秒」


もう一回オロチさんに抱きついた。

心の中でカウントをする。


「……ご飯行ってくる」


顔が見れず、私は背を向けた。


「A」


不意に後ろから強く抱きしめられた。

でも怖いとは感じなかった。

耳元に息がかかる。


「……っ」


明らかに首のところに違う感触がした。


「……早く行ってこい」


そういってオロチさんは背を向けた。

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ぐりーん(プロフ) - もうこれ何度見返しても涙…好きすぎる( ; ; ) (2022年1月16日 16時) (レス) id: c2e222939c (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 感動しました、、、 (2020年4月16日 19時) (レス) id: be295054f5 (このIDを非表示/違反報告)
黒咲優乃 - これ絶対誰でも泣きますよ...感動&少し切ない...良い物語ですね。何年、もしかしたら、何十年か後、主人公がオロチ達とまた再開出来たら良いなぁと思いました (2018年12月25日 0時) (レス) id: c26dd69b91 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 泣いちゃいました! (2017年11月19日 12時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - 感動してに泣きました。 (2017年6月5日 19時) (レス) id: 463cc6db15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2016年3月3日 16時

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