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温もり55 ページ5

「やだ……っっ……あれ?」


気づくと元の森に居た。


「オロチさん……」


近くにはオロチさんが座っていた。


「随分とうなされていたが」


「うん」


随分静かな場所で、どこからか水の流れる音と小鳥の鳴き声が聞こえた。


「まだ顔色が悪いな、しばらく休んでいるといい」


「うん……」


私はその場で横になった。

まだちょっと気分が優れない。


「膝枕でもしてあげたらいいのに〜」


「え、えんらえんらさん」


「どうも〜」


えんらえんらさんはにっこりと笑った。

隣には大ガマさんもいた。


「悪かったな、オレなんも知らなくてさ」


「……大丈夫」


「ああ、そういえばさっき土蜘蛛が呼んでたぜ」


するとオロチさんは立ち上がった。


「待って……」


思わず私はオロチさんの足を掴んでしまった。


「……なんでもない」


「すぐ戻る」


なんだか素っ気ない。

そんな気がした。


「なんだか素っ気ないわね〜……」


「そうか?いつもあんなもんだろ」


2人が話をしている隙を見て私はオロチさんが消えて行った方へ向かった。

別に待っていてもよかったけれど、何と無く気になった、それだけ。


「ぁ……」


オロチさんの後ろ姿が見えた。

その後ろには土蜘蛛さんも居た。

私は急いで木の影に隠れた。


「そちらの方はどうだオロチよ」


「はい、しかし本当によろしいのでしょうか土蜘蛛殿」


交わされた会話はなにやら重々しいものだった。


「人間と妖怪が共存できる世界に反論するつもりはありません。しかし今回のことは……」


「なにも律儀に規律を守ることはない。己が決めればそれは正しくなることもある。……だが吾輩はそのことにあまり詳しくなくてな、えんらえんらあたりがよっぽど詳しいだろう。……相談はしているみたいだが、もう一度よく考えるといい。それと、誰かが傷つくことも忘れるようにな。……Aが待っているのだろう。早く行ってやるといい」


「……失礼します」


オロチさんは納得行かないような顔をして、土蜘蛛さんに頭を下げると何処かへ行ってしまった。


「もう行ったぞ」


既にばれていたようだ。


「ごめんなさい……」


「構わん。それよりどこから聞いていた」


「人間と妖怪が共存できるかとか……」


土蜘蛛さんは"そうか"と、返事をした。

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ぐりーん(プロフ) - もうこれ何度見返しても涙…好きすぎる( ; ; ) (2022年1月16日 16時) (レス) id: c2e222939c (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 感動しました、、、 (2020年4月16日 19時) (レス) id: be295054f5 (このIDを非表示/違反報告)
黒咲優乃 - これ絶対誰でも泣きますよ...感動&少し切ない...良い物語ですね。何年、もしかしたら、何十年か後、主人公がオロチ達とまた再開出来たら良いなぁと思いました (2018年12月25日 0時) (レス) id: c26dd69b91 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 泣いちゃいました! (2017年11月19日 12時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - 感動してに泣きました。 (2017年6月5日 19時) (レス) id: 463cc6db15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2016年3月3日 16時

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