温もり87 ページ37
「冷た……」
鼻の頭に冷たい感覚。
「雪だな」
「本当だ……」
空を見上げるとちらちらと真っ白な雪が降り始めていた。
少しすると私の家が見えた。
「ありがとうオロチさん……」
門の前に降ろされるとオロチさんは素っ気なく後ろを向いてしまった。
「オロチさん……？」
正面に立ってオロチさんの顔を覗くと、目元が赤く、少し腫れていた。
「……あまり見るな」
と、そっぽを向く。
「オロチさんも泣いてたの……？」
そう聞くと突然私を抱きしめた。
「オロチさんあったかい……」
オロチさんの涙が私の頬を伝った。
「オロチさん泣くなんてずるい」
つられて私も涙がでてくる。
「また会えるよ、絶対。私忘れないからね、オロチさんのこと。オロチさんに教えてもらったこと全部……ね？だからオロチさんも忘れちゃだめだよ」
「……ああ」
温もりを感じていたくて、私はオロチさんに力強く抱きしめた。
「A、前にした約束覚えてるか」
「……笑う、こと」
オロチさんは私の涙を拭った。
「だから今、見せてくれないか」
そう言ってオロチさんは優しく笑った。
「……っっむり、だよ。こんな時にうまく笑えないよ……」
涙ばかりでて、うまく笑えなかった。
どんどん薄れていくオロチさんに私は手を伸ばした。
まだ、感触はある。
あたたかい。
オロチさんは私の手を強く握ると、そっと私にくちづけをした。
「オロチさんずるいよ……っっ」
「でも笑えることはできた」
オロチさんはいじわるだ。
「私笑えてるの……？」
オロチさんは優しく笑った。
「私の最も好きな顔だ」
だんだんと薄れていくあなたの温もりは私の大好きな温もり。
その温もりを忘れないようにしよう。
大好きな人。
オロチさん。
「またね、オロチさん。大好きだよ」
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ぐりーん(プロフ) - もうこれ何度見返しても涙…好きすぎる（ ; ; ） (2022年1月16日 16時) (
レス) id: c2e222939c (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 感動しました、、、 (2020年4月16日 19時) (レス) id: be295054f5 (このIDを非表示/違反報告)
黒咲優乃 - これ絶対誰でも泣きますよ...感動&少し切ない...良い物語ですね。何年、もしかしたら、何十年か後、主人公がオロチ達とまた再開出来たら良いなぁと思いました (2018年12月25日 0時) (レス) id: c26dd69b91 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 泣いちゃいました！ (2017年11月19日 12時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - 感動してに泣きました。 (2017年6月5日 19時) (レス) id: 463cc6db15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2016年3月3日 16時
