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温もり84 ページ34

そこにいるのはきっと私の友達たち。

友達になりたかった子たち。

なる前に見えなくなってしまった。


「嘘だ……」


オロチさんに視線を向けるとオロチさんは視線を向こうへ向けた。


「もうAは子どもじゃない。別れは悲しいがこれは仕方のないことだ。どうあがこうがこれが真実。最後に言い残したいことがあるのなら言うといい」


「そんな……私別れたくないよ。もう、会えないの……?」


そう言うとオロチさんは一度だけ私の目を合わせた。


「それは誰にもわからない。もしかして今から数年後、数十年後にもしくは死後に会えるかもしれない……ただこれは本当に誰にもわからないことだ」


「ねぇ、私今日言ったよね?約束破ってでもオロチさんと居たいって。私……オロチさんと居るよ」


何よりもオロチさんとずっと一緒に居たい。

その思いがどんな思いよりも強かった。

オロチさんも好きならいいよね?


「それは、ダメだ。Aがこちら側へくるのは許さない」


「なんで……?ダメって言わなかったのに」


オロチさんはなにも言わなかった。

ただずっと、私の目を見つめていた。


「お別れなんて嫌だよ……っっ」


オロチさんの手を振りほどいて私はその場を走り去った。

どうしてなのかわからなかった。

また同じことを繰り返さなきゃいけないのだろう。

やっぱり妖怪と人間は互いに認識した上で共存することは出来ないのだろうか。


「オロチさん……」


好きという思いも捨てなければならないのだろうか。

そんなの嫌だ。

捨てたくなかった。

走り疲れて立ち止まった。

どれだけ走っても同じ景色。

振り返っても誰も居なかった。

もしかしたら私の目の前にいるかもしれない。

でも見えない。

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ぐりーん(プロフ) - もうこれ何度見返しても涙…好きすぎる( ; ; ) (2022年1月16日 16時) (レス) id: c2e222939c (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 感動しました、、、 (2020年4月16日 19時) (レス) id: be295054f5 (このIDを非表示/違反報告)
黒咲優乃 - これ絶対誰でも泣きますよ...感動&少し切ない...良い物語ですね。何年、もしかしたら、何十年か後、主人公がオロチ達とまた再開出来たら良いなぁと思いました (2018年12月25日 0時) (レス) id: c26dd69b91 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 泣いちゃいました! (2017年11月19日 12時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - 感動してに泣きました。 (2017年6月5日 19時) (レス) id: 463cc6db15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2016年3月3日 16時

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