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温もり83 ページ33

オロチさんは木の枝に座っていた。


「どうしてここにいる」


「それは、こっちのセリフかもしれないけど。……降りてきてよ」


オロチさんは言うとおりに降りてきた。


「……急にどうしたの?限界ってなに?オロチさん、おかしいよ……」


「おかしいのはAのほうだ。いや、違う。これは当たり前のことだ……」


オロチさんがなにを言っているのかよくわからなかった。

オロチさんは私の手を握った。


「本当は言いたくなかったが……。もうAとは会えない。Aも本当は既に気づいているのだろう。私達が見えなくなりつつあることを」


「……っっ。オロチさん、それは違うよ。私ちゃんと見えてる。オロチさんのことちゃんと見えるし、触れてるの分かる」


オロチさんの手をぎゅっと握り返した。

目の前の変化に私は目をそらした。


「身の回りに起こることは妖怪がもたらすもの。真実を受け止めてくれ……。Aは怒ったってさほど怖くない。大袈裟に弱腰になって逃げたのも妖怪の仕業だ。Aともう一度会ってどれだけの妖怪と出会った」


「オロチさんと、ノガッパさんと、えんらえんらさんと土蜘蛛さんと大ガマさんと……キュウビさんと……」


指を折っていって数え、六で指がとまった。

そういえば、私誰と会った?

小さい頃は外に出るだけでたくさんの妖怪がいたのに。


「ちゃんと見えてるよ、オロチさん」


「A、後ろを見てくれ」


オロチさんの言われた通りに後ろを振り返った。

あるのは桜の景色だけ。


「見えていないのだろう」


目の前にいるのは……誰?


「誰が……いるの?」


うっすらぼんやりと見える影を見て私は息をのんだ。

大きな影。

いや、大きいんじゃない。

幾つもの影が集まっていた。

そこにいるのは……


「もしかして……」

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ぐりーん(プロフ) - もうこれ何度見返しても涙…好きすぎる( ; ; ) (2022年1月16日 16時) (レス) id: c2e222939c (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 感動しました、、、 (2020年4月16日 19時) (レス) id: be295054f5 (このIDを非表示/違反報告)
黒咲優乃 - これ絶対誰でも泣きますよ...感動&少し切ない...良い物語ですね。何年、もしかしたら、何十年か後、主人公がオロチ達とまた再開出来たら良いなぁと思いました (2018年12月25日 0時) (レス) id: c26dd69b91 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 泣いちゃいました! (2017年11月19日 12時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - 感動してに泣きました。 (2017年6月5日 19時) (レス) id: 463cc6db15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2016年3月3日 16時

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