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温もり82 ページ32

「はぁ……はぁ……」


いくら走ってもオロチさんの姿はなかった。

とても会いたい。

胸がきゅっと痛い。

近くに川の流れる音が聞こえた。


「そうだ、ノガッパさんに聞けば……っっ」


急いで向かったが、ノガッパさんの姿はなかった。


「……っっどうしよう」


私はその場にしゃがみ込んだ。

オロチさんはどこにいる?

私はなにか関係のあるような場所にいるんじゃないかと思い当たる場所をあげてみた。


「そうだ……あそこは?」


私がオロチさんと初めてあった場所。

再会した時も一度だけ行った。

あの桜の綺麗なところ。


「でも行き方わかんないし……」


妖怪の力で守られていて、きっと妖怪の力で場所も隠されているのだろう。

水辺の近くにいるのは本当に寒い。

顔を伏せて途方に暮れた時だった。

冷たい風が急に暖かくなったのだ。

顔をあげるとそこは私が思い浮かべた場所だった。

ピンク色の絨毯。

暖かな風にのせて桜の花びらが流れていく。

まるで私に道を示しているようだった。

それにつられ私は導く先へ歩いた。

あまりにも暖かくてコートも脱いでマフラーも外した。


「ぁ……」


風が止んだ。

私は歩みを止め、その先にある周りの木より遥かに大きな桜の木を見上げた。


「オロチさん……?」

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ぐりーん(プロフ) - もうこれ何度見返しても涙…好きすぎる( ; ; ) (2022年1月16日 16時) (レス) id: c2e222939c (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 感動しました、、、 (2020年4月16日 19時) (レス) id: be295054f5 (このIDを非表示/違反報告)
黒咲優乃 - これ絶対誰でも泣きますよ...感動&少し切ない...良い物語ですね。何年、もしかしたら、何十年か後、主人公がオロチ達とまた再開出来たら良いなぁと思いました (2018年12月25日 0時) (レス) id: c26dd69b91 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 泣いちゃいました! (2017年11月19日 12時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - 感動してに泣きました。 (2017年6月5日 19時) (レス) id: 463cc6db15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2016年3月3日 16時

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