温もり79 ページ29
縁側へ向かうとオロチさんがこまりを抱いて座っていた。
私に気づいたのか、こちらに視線を向けた。
「……日向ぼっこ?」
「ああ」
私はオロチさんの隣に座った。
互いになにか話す訳でもなく、少し冷たいが心地よい風に吹かれていた。
「もし、私が居なくなったらどう思う」
「え……?」
ぱっとオロチさんの顔を見た。
ふざけているとかではないことは表情をみれば一目瞭然だった。
オロチさんは一体なにを考えているのだろう。
「オロチさん……居なくなるの?」
「……仮の話だ。悲しいと感じるか?」
固唾をのんだ。
「……悲しくないよ。多分怒るかな」
私は迷いながら自分の思いを言葉として表す。
「オロチさんは人間として生きるように私に言ったけれど……。私達がお互いの気持ち分かってて、そういう関係になっちゃったら……約束破ってでも居たい、かな。わがままだけど……ごめんなさい」
オロチさんが私に向ける視線は優しく、でもどこか悲しさを感じた
。
私の答えにオロチさんはなにも返事はしない。
「……私、前と変われたかな?」
オロチさんは私の髪に触れた。
「……いや、全然変わらないな。昔と全然変わらない……」
オロチさんはそう呟いて私の手を握った。
オロチさんがなにを言いたいのか、なにを思っているのか、私にはわからない。
ただ、私には不信感が募るばかりだった。
32人がお気に入り
「妖怪ウォッチ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぐりーん(プロフ) - もうこれ何度見返しても涙…好きすぎる( ; ; ) (2022年1月16日 16時) (レス) id: c2e222939c (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 感動しました、、、 (2020年4月16日 19時) (レス) id: be295054f5 (このIDを非表示/違反報告)
黒咲優乃 - これ絶対誰でも泣きますよ...感動&少し切ない...良い物語ですね。何年、もしかしたら、何十年か後、主人公がオロチ達とまた再開出来たら良いなぁと思いました (2018年12月25日 0時) (レス) id: c26dd69b91 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 泣いちゃいました! (2017年11月19日 12時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - 感動してに泣きました。 (2017年6月5日 19時) (レス) id: 463cc6db15 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:剣城京菜 | 作成日時:2016年3月3日 16時