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温もり78 ページ28

「あんたのとこの猫は随分と人懐っこいわね」


鈴はテーブルに頬杖をついて退屈そうに言った。


「……鈴、ゲームしよ」


「いいわよ」


私はテレビが置かれている棚の中からコントローラーを二つ取り出した。


「解せぬ」


何回戦勝負したのか、全敗。


「細工したな」


「知らないわよ。あんたが弱いだけ」


勝てないのはきっと妖怪の仕業だ。

そうに違いない。

一口お茶を飲むと、玄関のチャイムが鳴った。


「誰かしらね」


「……いつもは勝てるんだよ?」


と、私は弁解をした。

しかしこれは言い訳ではなく本当のことだった。


「いいから行ってきなさいよ」


「あ、うん……」


玄関に向かうが、誰なのかチャイムを連打してくる。


「……はい」


扉を開けると門の前にはギャル子がいた。

化粧もせずスウェット姿だった。


「遊びにきた」


「いや唐突に言われても」


ギャル子は勝手に門を開けて入ってきた。


「いや、遊びにきたわけじゃねぇんだけどさ。ちょっとお手洗いかしてくんない?」


「まぁ……いいけど……」


ギャル子は慌てて靴を脱いでお手洗いに入ってった。


「誰?」


鈴がリビングから顔を出した。


「……ギャル子」


ギャル子の靴を揃えて置いた。

鈴は口をぱくぱくさせていた。


「セーフ!!ありがとうな!!……あれ、鈴っちじゃん。なんでいんの?」


「……お泊まり会」


ギャル子はなにを思ったのかリビングに走り込んだ。


「ゲーム!!」


「あんた勝手に失礼じゃない」


「私これずっと欲しかったんだ〜」


まじまじとテレビの画面を見つめる。


「ちょっとだけやってもいいよ。鈴が相手してくれるって……」


無理矢理に鈴をソファへ座らせた。


「ちょ、ちょっと……」


「まじで!!絶対勝つ!!」


ゲームを始めた2人。

少しの間私はここから出ていた方がいいのかもしれない。

こっそりとリビングから出た私はオロチさんを探しに家の中を歩き回った。

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ぐりーん(プロフ) - もうこれ何度見返しても涙…好きすぎる( ; ; ) (2022年1月16日 16時) (レス) id: c2e222939c (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 感動しました、、、 (2020年4月16日 19時) (レス) id: be295054f5 (このIDを非表示/違反報告)
黒咲優乃 - これ絶対誰でも泣きますよ...感動&少し切ない...良い物語ですね。何年、もしかしたら、何十年か後、主人公がオロチ達とまた再開出来たら良いなぁと思いました (2018年12月25日 0時) (レス) id: c26dd69b91 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 泣いちゃいました! (2017年11月19日 12時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - 感動してに泣きました。 (2017年6月5日 19時) (レス) id: 463cc6db15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2016年3月3日 16時

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