温もり53 ページ3
休日というのはなんて暇なのだろう。
休日も積極的に外に出かけない方だから仕方ない。
外に出かけようにも相手が居ない。
ただ部屋の中でなにもせずに座っているのも退屈だ。
こまりと遊ぼうにも今日に限って居ない。
オロチさんも居ない。
野暮用らしい。
なんでも野暮用と言えば片付けられるのか。
どこに行ったのか気になってしまう。
追おうにも行く術もない。
一日中パジャマでダラけて過ごそう。
私は自分のベッドにダイブをした。
すると部屋の窓が勢いよくあいた。
「よっ、久しぶりだな」
窓から上半身をのりだす。
「えっと……」
「大ガマだ。覚えてるか?」
大ガマさんはくるっと回転して、綺麗に着地をした。
「あの時はありがとうございました……」
ぺこっと頭を下げた。
「いいってことよ!!それよりも……」
大ガマさんはじろじろと私の顔を舐め回すように見る。
「へぇ、思った通りかなりの美人になったな……てその顔やめろよ」
「……なんのこと」
「やっぱ愛しのオロチじゃないとだめってことだなっ」
と、大ガマさんはいたずらな笑みを浮かべた。
「ところでなんでここにいんだ?」
「それは私が聞きたいのだけれど」
どうしてこう不法侵入者が多いんだ。
「退屈そうだな」
と、大ガマさんは我が家のごとく床に寝そべった。
「にゃーっっ」
いつの間に帰って来ていたのか、こまりは窓から入って来て大ガマさんの顔を引っ掻いた。
「いって!!」
「こまりだめ」
こまりは大ガマさんの顔を蹴ってベッドの上にあがった。
相当気に入らないらしい。
「オロチさんいないもんね、……さみしいね」
こまりの背を撫でて言う。
「だったら会いにいかねぇか?」
「えっ」
顔をあげると大ガマさんは口の端をにぃっとあげて笑った。
「オレが連れて行ってやるよ」
大ガマさんは私の手を強引に引っ張った。
「え、ちょっと待って!!」
「遠慮すんなって!!かなり飛ばすからしっかり掴まってろよ」
そう言うと大ガマさんは窓から勢いよく飛び出した。
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ぐりーん(プロフ) - もうこれ何度見返しても涙…好きすぎる( ; ; ) (2022年1月16日 16時) (レス) id: c2e222939c (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 感動しました、、、 (2020年4月16日 19時) (レス) id: be295054f5 (このIDを非表示/違反報告)
黒咲優乃 - これ絶対誰でも泣きますよ...感動&少し切ない...良い物語ですね。何年、もしかしたら、何十年か後、主人公がオロチ達とまた再開出来たら良いなぁと思いました (2018年12月25日 0時) (レス) id: c26dd69b91 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 泣いちゃいました! (2017年11月19日 12時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - 感動してに泣きました。 (2017年6月5日 19時) (レス) id: 463cc6db15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2016年3月3日 16時