温もり62 ページ12
「ん……?」
目が覚めた。
目覚まし時計のせいではない。
かと言って意味もなく目が覚めてしまった訳でもなく。
部屋には携帯の音楽が鳴る。
そのせいでオロチさんも目を覚ました。
時計を見ると夜中の3時だった。
「こんな時間に誰だ……」
「わかんない……」
オロチさんに渡され、携帯の画面を見ると鈴という文字がしめされていた。
「もしもし、鈴……?」
応答は無し。
代わりに犬の鳴き声が微かに聞こえた。
「鈴?……ねぇ、なんか言ってよ……」
何度もそんなことを言うが応答はなかった。
私はどうしていいか分からず黙り込んだ。
そしてそれが何分も続いた。
いや、正確には数秒だったかもしれない。
鈴はようやく言葉を発した。
「……助けて」
「……鈴?ねぇ」
既に繋がっていなかった。
「……おい、まさか今から行くつもりじゃないだろうな」
「行かなきゃ行けないんだよ……だって、"助けて"って言われたんだもん……」
私はパジャマの上からコートを着て、こっそり家を抜け出した。
走って鈴の家が見える。
もう皆は寝てしまっている頃だろうが、鈴の部屋だけ明かりがついていた。
「あ、鈴……」
玄関先には鈴が座り込んでいた。
鈴は顔を俯かせたまま、こっちをみようとはしなかった。
「……来たのね」
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ぐりーん(プロフ) - もうこれ何度見返しても涙…好きすぎる( ; ; ) (2022年1月16日 16時) (レス) id: c2e222939c (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 感動しました、、、 (2020年4月16日 19時) (レス) id: be295054f5 (このIDを非表示/違反報告)
黒咲優乃 - これ絶対誰でも泣きますよ...感動&少し切ない...良い物語ですね。何年、もしかしたら、何十年か後、主人公がオロチ達とまた再開出来たら良いなぁと思いました (2018年12月25日 0時) (レス) id: c26dd69b91 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 泣いちゃいました! (2017年11月19日 12時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - 感動してに泣きました。 (2017年6月5日 19時) (レス) id: 463cc6db15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2016年3月3日 16時