その141 ページ8
身体中に何かが流れているのか、はっきりとわかる。
私が妖怪になってから何日も経つが眠くなったりお腹が減らなくなった。
死んでいるから当たり前か…。
貴「う…っ」
それと同時に右胸が痛む様になってきた。
塞がった傷口が張り裂けてしまいそうだった。
貴「うぅ……はぁ…」
死んでいるはずなのに心臓がドクドクと痛い。
クロ『これでお前は妖怪としての力が最大限に宿ったはずだ』
貴「はぁ…はぁ…」
いつの間にか結界はなくなっていた。
久しぶりの外は疎ましい程の快晴。
私は自分の家だったところへ向かった。
妖怪は私を見ると逃げて行く。
それ程までの存在となってしまった。
今なら私の手でーー…。
貴「…誰も居ない」
家の中はもぬけの殻。
物が散らかりっぱなしだった。
「うえぇん」
子どもの泣き声がして家の前を見ると佐織さんと敬一さんが小さな女の子と手を繋いで歩いていた。
クロ『あの子はお前の代わりだ。』
貴「…」
私はふらっと目的もなく飛んで行く。
佐織「…雨？」
途中で見つけたのは鈴さん。
鈴母「鈴ちゃん、今日の晩御飯はなにがいい？」
鈴「お母さんの料理ならなんでもいいよ」
鈴母「ふふ、じゃあ鈴ちゃんの大好きなハンバーグにしましょうか」
鈴「うん！」
仲良さげに歩く姿に私は嫉妬した。
後ろからそっと近づいく。
私の本当の両親と知りながら平気で笑っていられる。
私が本当の子どもと気づかない大人…。
大嫌いな人。
手を伸ばす。
触れればきっとなくなってしまう。
それでいいよ。
悲しくなってしまうくらいならなくなってしまえ。
貴「…」
伸ばした手を遮るのは…
オロチ「A…もうやめろ」
オロチさんだった。
貴「…こないで。なにも知らないくせに」
私は目をそらす。
オロチ「今ならまだ間に合う。…元の人間に戻ろう」
オロチさんは優しく笑う。
だけど私にはその優しさは分からない。
知らない。
そんなもの必要ない。
貴「…私はあなたを許しません」
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東雲かずら(プロフ) - うっっ‼︎美しすぎるッッ！感動しました。出会えてよかったと本当に思います。新作待ってます！！！ (6月19日 0時) (
レス) @page21 id: 2d0551ac1d (このIDを非表示/違反報告)
Mirai - いつの間にか、めっちゃ集中して読んでました！(*^^*)泣けるお話ですね( ；∀；) (2016年1月16日 14時) (レス) id: 0de0f8d7a3 (このIDを非表示/違反報告)
れいの - 泣きかけました〜 (2016年1月8日 16時) (レス) id: c932a9e9e6 (このIDを非表示/違反報告)
緑のオロチ - これの続きがよみたいです！！「夢主とオロチの再会」 (2015年11月1日 8時) (レス) id: 7291a00ada (このIDを非表示/違反報告)
オロチ - ありがとうございます。負けません (2015年8月23日 4時) (レス) id: 8d7b76d9a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2015年7月17日 18時
