検索窓
今日:11 hit、昨日:4 hit、合計:54,478 hit

第十六話 ページ16

ちりん、と風鈴の音が響いた。

ゆっくり目を開けると天井が見えた。


「いてて…あれ…私なにしてたんだっけ…?」


気づくと私は木でできた小屋のようなところに寝ていた。

涼しい風が入り込んだ。

微かに人の匂いがした。

扉が三分の一程開いている。


「…起きたか」


そこから入ってきたのは人ではなく…。


「オロチ…さん…」


オロチさんは扉を閉めると、音も立てずに私の横に来て座った。


「オロチさんが運んでくださったのですか?」


オロチさんは無言でコップに水を注いで私の前に出した。


「あ、ありがとうございます…」


私はそれを受け取り、一気に飲み干した。


「…熱中症」


オロチさんがぼそりと呟いた。


「…熱中症?」


「…真夏に外で寝る奴があるか」


そう言って熱中症という意味を教えはしなかった。


「しばらく安静にしていれば治るだろう。それと真夏に日の当たる場所で長時間いるのはやめろ」


オロチさんは私の肩を押し、布団に寝かせた。

そしてタオルを頭に置いた。

ひんやりして気持ちよかった。

最後にオロチさんは、私に薄い毛布の様なものをお腹にかけてくれた。


「ねぇ、オロチさん」


「…なんだ」


「妖怪も体調を崩すんですね」


「…妖怪になってから数年経っているがお前は何回も風邪ひいて寝込んだだろう」


「それは…気のせいです」


と、知らないふりをした。


「…早く寝ろ」


私を気遣ってか、入り口の近くで背を向け、寝転んだ。

そして数分後には寝息が聞こえていた。


「…おやすみなさい」

第十七話→←第十五話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
36人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

剣城京菜(プロフ) - ロキさん» あなたの温もりはの続編を企画中です!!できるだけ早く投稿するので待っていてくださると嬉しいです^_^ (2015年11月8日 13時) (レス) id: 3c3ce2d8b0 (このIDを非表示/違反報告)
ロキ - あなたの温もりはの続き書いてほしいです。 (2015年11月8日 8時) (レス) id: 27f7c75272 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - ナッツさん» 本当にご迷惑をおかけします……でも極力更新はしていくつもりなので最後までよろしくお願いします!! (2015年11月2日 23時) (レス) id: 3c3ce2d8b0 (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ - 12/12まで更新がほぼてきないんですか・・・!?大変ですね!!気を長くして待ってます(^^*) (2015年11月2日 23時) (レス) id: 70b9dc3167 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - brownsugarさん» ありがとうございます!!これからもよりよい作品が書けるように日々努力します!! (2015年9月21日 22時) (レス) id: 587c793b66 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:剣城京菜 | 作成日時:2015年8月14日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。