五十八 助っ人 ページ8
少し歩いていると聞き覚えのある声が遠くから私の名前を呼んだ。
「Aー」
駅のほうから手を振っているのは晴愛さんだった。
晴愛さんは真っ直ぐに走ってくる。
「あっ、危ないよ」
晴愛さんはぶつかりそうになった自転車をひらりと交わし、私の元へやってきた。
少し息をきらしながら晴愛さんは私の手を握ってぶんぶんと振り回した。
「元の世界に戻る方法探すの手伝うって言ったじゃん。だから来たんだ」
「わ、わざわざごめんね……」
晴愛さんはぱっと手を離すと頬を膨らませてあざとく睨んだ。
「俺はAの為ならどこでも駆けつける。Aの為ならなんでもするよ」
「──……そんなのいらないよ。何もしなくても晴愛さんは私の1番の親友……」
すると晴愛さんはきょとんとして、袖口をちょこんと掴んできた。
「……どうしてわかるの?」
「元の世界の晴愛もそうだったもの……。晴愛が欲しいものは傷ついて貰える対価なんかじゃないよ。私はそのままの晴愛が好き」
晴愛さんは鼻を垂らした顔で何故か私の頭を撫でた。
泣いてないと言い張る晴愛さんをなだめているとぼそりと
「どこにも行かないで……」
と呟いた。
聞き返すとなんでもないとはぐらかされた。
「ところで2人はどこに向かってたの?」
私は晴愛さんに裂け目について話してみた。
こんな話信じてくれるか分からなかったけど、晴愛さんは疑うことなく自分も探してくれると言ってくれた。
「Aが言うのなら俺は信じるよ。……それとその裂け目ってやつだけどさ、もしかしたら見たかもしれない。俺、ここに着いてから少し歩き回ったんだけどそしたら遠くに変な黒いのが見えてさ、もしかしたらそれかなぁ」
それが見間違いかあるいは本物か確かめるべく、晴愛さんの案内のもと、私たちは裂け目に向かうのだった。
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剣城京菜(プロフ) - れいちゃそさん» ありがとうございます……!リアルが忙しく中々更新できませんが、完結までは投稿しますのでよろしくお願いします……!! (2020年8月8日 23時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
れいちゃそ(プロフ) - コメント失礼致します。つい最近こちらの作品を見つけて、シリーズの初めから読ませて頂きました!更新楽しみにしてます。 (2020年6月29日 2時) (レス) id: f8d9f5b45d (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - いえいえ~ (2020年5月10日 20時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - そうなんですね!教えて下さってありがとうございます! (2020年5月10日 19時) (レス) id: 9574458ee9 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - なつさん» あらかじめ溜めてます。この作品は既に完結まで書いてます。ただサブタイトルは後回しで難航しがちですが……(汗) (2020年5月10日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年12月21日 18時