四十七 協力者 ページ47
私はゆっくりとオロチさんより前へ出て、晴愛さんの前に立った。
晴愛さんの顔を見上げると晴愛さんは
「……約束なんて簡単に破れる。嘘なんて嫌だよ……」
と、零した。
「A、俺を1人にしないでよ……。1人はもう嫌だよ……っっ酷いことしているのは分かっているけど、俺どうしたらいいか……っっ」
ぽつんと雫が1滴、私の頬に落っこちた。
「……晴愛、大丈夫」
私は両手を伸ばし晴愛さんの頬にそっと触れた。
「酷いことしてしまうのも、怖いと思うこともそれは普通だよ。これは晴愛が生きているってこと。晴愛が私のこと好きなの嬉しいよ。私も晴愛のこと本当に大好き。だから、ね。私晴愛のこと全然怒ってないし、これからもずっと友だちで居てほしいの。私は晴愛から離れたりしないよ」
ハンカチで涙を拭いてあげると晴愛さんはぎゅうっと私を抱きしめた。
「──ごめんなさい。……Aはそのオロチって奴のこと本当に好き?」
「うん、好き。だーいすきだよ」
晴愛さんは体を離すとオロチさんに私を不幸にしたら死んでも恨むと言った。
「……それを言うなら元の世界の私に言うべきだが」
「元の世界……?」
オロチさんがそんなことを言うものだから晴愛さんは興味を持ってしまったようだ。
「そいつを信用しているようなら言っても構わないだろう。それとも隠すべき相手だったか」
「そうじゃない……そうじゃないけど……。現実離れしているから信用してもらえるか……」
すると晴愛さんは私の言葉なら信用していると言った。
全て話すのは混乱するので私が別の世界から来たこと、2つの世界の異なる点と晴愛さんと私が妖怪であることと、私の友だちであることだけを話した。
「……頭打った?」
「……ほら、またそういうこと言うんだから」
冗談冗談、と晴愛さんはけらけらと笑っていた。
「別の世界の自分とか変な感じだけど、Aのことは信じるし。……俺も手伝うね」
土砂降りだった雨が次第に止み、暗い雲の隙間からオレンジ色の光が漏れ出した。
チャイムが鳴り、私たちはスクールバッグを持って学校を出た。
駅に着いて晴愛さんと別れる間際、晴愛さんはオロチさんに何か耳打ちをしていた。
何を話しているのか聞こうと思ったら晴愛さんは急いでいるからと颯爽と姿を消してしまった。
「……何か言われたの」
オロチさんに尋ねるも、オロチさんは黙り込んで晴愛さんの背中をじっと見つめていた。
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剣城京菜(プロフ) - なつさん» あっ、本当ですね…。直しました、教えてくださってありがとうございますっ! (2019年12月4日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 三十三なんですが、(名前)が(あ名前)になってます、、、 (2019年12月4日 16時) (レス) id: ebf4a6617f (このIDを非表示/違反報告)
恋兎姫 - 剣城京菜さん» お返事ありがとうございます…! 剣城京菜さんの作品妖怪ウォッチのとイナイレの両方好きでした!また新作がでるんですね!楽しみに待ってます! (2019年11月12日 0時) (レス) id: 2d1633e5ef (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 恋兎姫さん» ありがとうございます!!既に完結までかいて投稿するだけなので、少ししたら平行して新作を出していこうと思っています。良ければそちらも読んでいただけたら嬉しいです!! (2019年11月10日 17時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
恋兎姫 - この小説のシリーズ大好きです! もうすぐおわっちゃうんですね…凄く悲しいけど作者様のペースで頑張って完結させて下さい!応援しています! (2019年11月8日 22時) (レス) id: 2d1633e5ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年10月20日 11時