四十三 移り ページ43
オロチさんの居る所へ戻るとオロチさんは一瞬だけ視線をこちらへ向けた。
「……タイミング悪かったね。ごめんなさい」
「……私より余程いいだろう」
オロチさんは不貞腐れた口調で返した。
私は心をちくちくさせながら近くの席に座った。
「私、死ぬ前に本なんて借りてないんだよね。力が使えるようになったことも、……晴愛さんがいることもそうだけど都合良すぎというか。──……商店街で聞いた言葉、"現実は己の願い"と言ったけれどもしこの世界が私の願いだとしたら……」
するとオロチさんはくだらんと話を遮った。
「得体の知れない者の言葉なんて信じるな。貴様が元の世界へ帰りたいと思うのならそれだけだ。誰の言葉にも惑わされることもない。……何故そう私の顔を見る」
「え、うん……。オロチさん私のこと貴様呼びしてるなぁって思って。元の世界のオロチさんも最初は貴様とかお前で呼んでたから……。そういえばあの時私のこと名前で呼んでくれたっけ」
オロチさんは気のせいだと顔を背けた。
風になびいて揺れた髪の隙間から見えた耳はほのかに紅く染まっていた。
「……っ、あ。雨降るから窓閉めよ……っ?」
紅いのが私まで少し移ってしまったようだ。
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剣城京菜(プロフ) - なつさん» あっ、本当ですね…。直しました、教えてくださってありがとうございますっ! (2019年12月4日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 三十三なんですが、(名前)が(あ名前)になってます、、、 (2019年12月4日 16時) (レス) id: ebf4a6617f (このIDを非表示/違反報告)
恋兎姫 - 剣城京菜さん» お返事ありがとうございます…! 剣城京菜さんの作品妖怪ウォッチのとイナイレの両方好きでした!また新作がでるんですね!楽しみに待ってます! (2019年11月12日 0時) (レス) id: 2d1633e5ef (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 恋兎姫さん» ありがとうございます!!既に完結までかいて投稿するだけなので、少ししたら平行して新作を出していこうと思っています。良ければそちらも読んでいただけたら嬉しいです!! (2019年11月10日 17時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
恋兎姫 - この小説のシリーズ大好きです! もうすぐおわっちゃうんですね…凄く悲しいけど作者様のペースで頑張って完結させて下さい!応援しています! (2019年11月8日 22時) (レス) id: 2d1633e5ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年10月20日 11時