検索窓
今日:16 hit、昨日:7 hit、合計:15,970 hit

四十三 移り ページ43

オロチさんの居る所へ戻るとオロチさんは一瞬だけ視線をこちらへ向けた。


「……タイミング悪かったね。ごめんなさい」


「……私より余程いいだろう」


オロチさんは不貞腐れた口調で返した。

私は心をちくちくさせながら近くの席に座った。


「私、死ぬ前に本なんて借りてないんだよね。力が使えるようになったことも、……晴愛さんがいることもそうだけど都合良すぎというか。──……商店街で聞いた言葉、"現実は己の願い"と言ったけれどもしこの世界が私の願いだとしたら……」


するとオロチさんはくだらんと話を遮った。


「得体の知れない者の言葉なんて信じるな。貴様が元の世界へ帰りたいと思うのならそれだけだ。誰の言葉にも惑わされることもない。……何故そう私の顔を見る」


「え、うん……。オロチさん私のこと貴様呼びしてるなぁって思って。元の世界のオロチさんも最初は貴様とかお前で呼んでたから……。そういえばあの時私のこと名前で呼んでくれたっけ」


オロチさんは気のせいだと顔を背けた。

風になびいて揺れた髪の隙間から見えた耳はほのかに紅く染まっていた。


「……っ、あ。雨降るから窓閉めよ……っ?」


紅いのが私まで少し移ってしまったようだ。

四十四 再回答→←四十二 甘えの横取り



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (18 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
31人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

剣城京菜(プロフ) - なつさん» あっ、本当ですね…。直しました、教えてくださってありがとうございますっ! (2019年12月4日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 三十三なんですが、(名前)が(あ名前)になってます、、、 (2019年12月4日 16時) (レス) id: ebf4a6617f (このIDを非表示/違反報告)
恋兎姫 - 剣城京菜さん» お返事ありがとうございます…! 剣城京菜さんの作品妖怪ウォッチのとイナイレの両方好きでした!また新作がでるんですね!楽しみに待ってます! (2019年11月12日 0時) (レス) id: 2d1633e5ef (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 恋兎姫さん» ありがとうございます!!既に完結までかいて投稿するだけなので、少ししたら平行して新作を出していこうと思っています。良ければそちらも読んでいただけたら嬉しいです!! (2019年11月10日 17時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
恋兎姫 - この小説のシリーズ大好きです! もうすぐおわっちゃうんですね…凄く悲しいけど作者様のペースで頑張って完結させて下さい!応援しています! (2019年11月8日 22時) (レス) id: 2d1633e5ef (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年10月20日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。