三十五 ぎこちなく ページ35
次の日、起きてあくびをしながらもたもた制服に着替えていると鍵の開いた窓が少し開いた。
急いでファスナーをあげて窓を開けるとオロチさんがまたかと言うような目で私を見た。
「今日は起きてから窓開けたから……」
オロチさんは私の顔をじっと見て
「……ならいい。駅前で待っている」
と言って駅の方へ飛んでいってしまった。
それから一時間程して駅前に着いて辺りを見回していると、オロチさんが目の前に降り立った。
「遅くなってごめんなさい。それと私、今から学校なんだけど……」
オロチさんは無視して改札の方を見た。
どうやら学校まで着いていくという意味らしい。
後々オロチさんは私がまた何かに巻き込まれて面倒事を起こしそうだと言った。
昨日のこともあり、私も薄々そう思っていたので何も言い返せなかった。
そう思っているうちに電車が来る時間になった。
改札へ行こうとつま先をそちらへ向けようとしたら背後から肩を叩かれた。
振り向くと学ランのボタンが目に止まった。
見上げてようやくその誰かと目があった。
「……おはよ」
それは……くんだった。
「……おはよう」
「今日は朝練がなかったから……。もう電車が来るだろ」
……くんはどことなくぎこちなそうに改札の方へ歩いていった。
改札へ入り、……くんのあとを距離を開けてついていき電車を待っていると……くんは今日の1時間目はなんだっけと尋ねてきた。
「……現文だったかな」
そっか、と返事をすると……くんは月曜日だから選択科目があったなとぶつぶつ喋り始めた。
たまにくる問いに答えつつ電車を降りると姿を消していたオロチさんが後ろに現れた。
あとをついてくるのはいいが、何やらオロチさんは……くんに無言で睨みつけて威嚇している。
ふとヒカリオロチさんと話しているときのことを思い出した。
ヒカリオロチさんに限った話ではないが、私が異性と話し込んでいるとオロチさんは私の背後から相手を睨んで威嚇していると偶然そこに居合わせた晴愛さんから聞いたことがある。
話し終わるとオロチさんは少しだけおしゃべりになる。
「……なんか、嬉しいことでもあったのか?」
……くんは不思議そうな顔をして後ろを振り返った。
私はオロチさんから顔をそらし、平常心を装う。
少し歩いて直ぐに学校が見えてきた。
「俺、部室に忘れ物したんだった。先に教室行ってていいよ」
……くんは走って部室のある方へ走ってしまった。
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剣城京菜(プロフ) - なつさん» あっ、本当ですね…。直しました、教えてくださってありがとうございますっ! (2019年12月4日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 三十三なんですが、(名前)が(あ名前)になってます、、、 (2019年12月4日 16時) (レス) id: ebf4a6617f (このIDを非表示/違反報告)
恋兎姫 - 剣城京菜さん» お返事ありがとうございます…! 剣城京菜さんの作品妖怪ウォッチのとイナイレの両方好きでした!また新作がでるんですね!楽しみに待ってます! (2019年11月12日 0時) (レス) id: 2d1633e5ef (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 恋兎姫さん» ありがとうございます!!既に完結までかいて投稿するだけなので、少ししたら平行して新作を出していこうと思っています。良ければそちらも読んでいただけたら嬉しいです!! (2019年11月10日 17時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
恋兎姫 - この小説のシリーズ大好きです! もうすぐおわっちゃうんですね…凄く悲しいけど作者様のペースで頑張って完結させて下さい!応援しています! (2019年11月8日 22時) (レス) id: 2d1633e5ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年10月20日 11時